7月19日は北朝鮮の地方選挙の日だ。金正恩第一書記が最高指導者となって、初の地方選挙だが、住民たちの反応は冷め切っているという。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、地方選挙を前にして北朝鮮全土では「選挙カー」が走り回って騒ぎ立てているが、住民の反応は鈍く、選挙は全く盛り上がらない。

投票所の前で踊る人々。(画像:朝鮮中央通信)
投票所の前で踊る人々。(画像:朝鮮中央通信)

北朝鮮の選挙は、選挙区に配分された候補者に「賛成」か「反対」の投票を行う方式で行われる。秘密投票ということになっているが、反対投票を行うためには記載台に入って「反対」と記入することになっているため、反対を投じたらすぐバレる。反対票を投じた住民には、様々な制裁が加えられることは言うまでもない。

さらに、投票日の正午にはラジオニュースで、早々と選挙結果が伝えられるのだ。その内容とは「100%投票、100%賛成」。有権者をバカにしたような形式だけの選挙が盛り上がるわけがないだろう。そもそも有権者たちは候補の名前すら知らないという。

日本で選挙期間中によく耳にするフレーズといえば「◯◯選挙の投票日です!」「△△をよろしくお願いします!」などだが、北朝鮮では「全員賛成投票せよ!」と超上から目線だ。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋は、次のように語る。

「選挙カーがやって来て『全員賛成投票せよ』と騒ぎ立てるのでうるさくてしようがないという。どうせ候補者全員が当選するのに、人々を動員して大騒ぎする理由が全く理解できない」

両江道(リャンガンド)の内部情報筋によると、芸術宣伝隊や子どもたちの宣伝隊が出勤時間、お昼休み、退社時間としつこくやって来て「選挙に行け」と大騒ぎする。ある住民は「うるさくてしょうがない。選挙なんか早く終わればいいのに」と露骨に不満を示す。

6月20日には、人民班長(隣組)、世帯主、と選ばれた一部の住民を前に、選挙説明会が行われたが、 立候補者についての説明は全くなかった。住民たちは誰が立候補するかも知らず、知ろうとすらしない。

しかし、例え興味がなくても「棄権投票」は御法度だ。もし棄権でもしたら「不穏分子」「革命主権を裏切った者」などのレッテルを貼られてしまうことから、住民たちはいやいや投票所に向かい、投票用紙を受け取り、そのまま投票箱に入れる。まったく、無駄で意味のない作業を強いられるのが北朝鮮の選挙だ。

北朝鮮の選挙について、住民からは「くだらない」「意味がない」「ほっといても100%投票、100%賛成なのに、なんであんなに騒ぎ立てるんだ?」と一様に批判的な声をあげている。

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