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警察によるガードをすり抜けて到着すると、規模は小さいながらもソウルの会場同様、参加者たちによるブースが並んでいた。ちらほらと先週、ソウルで見かけた顔を見つけることができ、誰もが私を覚えていてくれた。まるで名前も知らない友人と、再会したかのような喜び。彼らの歓迎ぶりに、思わず胸が熱くなった。

大邱の街も、レインボーに染まった。(画像:筆者提供)
大邱の街も、レインボーに染まった。(画像:筆者提供)

 17時を迎えると、広場前には何本ものレインボーフラッグが翻り、フロート(山車)が現れた。いよいよ出発の時間だ。

ソウルでもセクシーなダンスを披露していた2人がフロートに乗り、場の空気を盛り上げる。参加者たちは晴れ晴れと、そして楽しく、妨害者たちが座り込んでいる場所とは逆方向に進みだした。

「ヘイトよりも互いに愛し合いましょう」

そう書かれたプラカードを掲げていたのは、ゲイの参加者たちだ。車いすの女性は、「差別に立ち向かう行動をしましょ」というメッセージを胸に抱えていた。言葉はソフトでも、明確なメッセージを持って差別に立ち向かう参加者を見ていて、さらに胸が熱くなった。

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沿道ではシットインこそ起きなかったものの、パレードにべったりと並走しながら妨害行為に及ぶ者が何人も現れた。

先ほどのトラメガ男や韓服じいさんだけでなく、何やらご高説をインカム越しに垂れ流す女性や、ヒステリックに叫ぶ白い服を着た女性など、誰もがソウルにもいたのを覚えている。

決して人のことは言えないが、よくもまあ大邱まで遠征したものだ。彼らの執念にぞっとしながらパレードを撮影していると、突然、まだ若いであろう女性がモモンガのように沿道に飛び出し、フロートが進めないようにとダイインを始めた。しかし警察によって両手足を捕獲され、ぽいっと追い出されてしまう。韓国警察の手早さたたるや「さすが……デモ慣れしてるな……」と、思わずひとりごちてしまった程だった。

「同性愛で国が滅びる!」などと叫びながら道に横たわりパレードを阻止しようとする女性。この後、女性警官によりあっという間に排除された。(画像:筆者提供)
「同性愛で国が滅びる!」などと叫びながら道に横たわりパレードを阻止しようとする女性。この後、女性警官によりあっという間に排除された。(画像:筆者提供)
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予定コースの中盤を過ぎたあたりで、「イベントフラッグに人糞が投げつけられた」という情報が入ってきた。

プロテスタントの長老により人糞が投げつけられた大邸クィアパレードの旗。犯人はすぐさま警察に連行された。(画像:筆者提供)
プロテスタントの長老により人糞が投げつけられた大邸クィアパレードの旗。犯人はすぐさま警察に連行された。(画像:筆者提供)

その瞬間は眼にしていなかったが、確かに白いフラッグを見ると、ところどころ茶色くなっていた。妨害するために何日もかけて、かき集めて来たのだろうか?

電車か車かよく知らないが、大事に抱えて会場まで持ってきたのだろうか? 気持ち悪い……。私はもう、黙って妨害行為を見ていることはできなくなってしまった。