「地獄に堕ちろ!」と妨害者が叫べば 「一緒に天国に行きましょうよ~」と茶化し、 「死ね!」と言われたら、 「生きましょうよ~」とさらに茶化す。
日本語がわかる参加者に韓国語を教えてもらい、同性愛者を貶める差別扇動者たちを心底軽蔑しながら、笑顔でおちょくりまくった。なぜなら同性愛者だからといって、死ねと言われる理由などないからだ。
しかし、私の怒りをよそに、パレードは粛々と続いていく。ゴール地点の地下鉄半月堂駅付近では、拙著『韓国のホンネ』にも登場した「韓国のネトウヨ」、活貧団の洪貞植代表が同性愛反対の横断幕を掲げて立っていたが、パレード参加者は誰も目を向けることはなかった。(私は初めて会うのでおずおずと話しかけてみると、嬉しそうな表情で名刺まで渡されてしまった。「わざわざ大邱まで来たのか」と言われたが、むしろこちらがそれを言いたい)
パレード参加者は約1000人とソウルよりは少ないながらも、パレードが終わった後もダンスパフォーマンスに興じていたりと、参加者たちの盛り上がりはその後もしばらく続いていた。小さいけれど中身は濃くて熱い。そんなパレードだったのかもしれない。
かつて大邱市民に「たとえミサイルが落ちても、大邱の人は朴槿恵支持をやめない」と言われたことがあるほど、大邱は保守層が強いと言われている。そんな場所でも、LGBTを祝福するパレードが開催されて、トラブルはあったものの無事に終わることができた。ソウルに続いて大邱でも、私は希望を感じることができた。
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朴順梨(パク・スニ)
1972年生まれ。大学卒業後、テレビ番組ADと情報誌編集を経てフリーライターに。著書に「韓国のホンネ」「奥様は愛国」(共に共著)「離島の本屋」などがある。8月に新刊が出版予定。
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