「金正恩氏は、崔龍海を処刑する口実を探すために、彼がトップの総政治局所属の行政課長の些細なミスを見つけ出し、翌日幹部たちを同席させた上で高射砲で銃殺した。その次に、崔龍海氏を処刑しようとしたが、なんからの理由で生かしておき、勤労団体の秘書に降級させるだけに留めた」
崔龍海が、なぜ粛清を逃れたのかは不明だが、いずれ事実は明るみにでるかもしれない。崔龍海は、粛清を免れたが、この高官は「張成沢処刑以後、権力内の人材が枯渇している」と証言する。
「張成沢の周辺には北朝鮮のすべての優秀な人材が集まっていた。しかし、彼と同時に粛清されたため、人材不足に陥り、優秀な人材がいない。金正恩氏に下手に提案や進言すると目を付けられて処刑されかねないからだ。誰も責任が問われる仕事を避けようとする」
金正恩体制は、経済を立て直すために、一度失脚した朴奉珠(パク・ポンジュ)を内閣総理に登用した。これは、張成沢の妻で、張氏が処刑されて以後、表舞台から姿を消した金慶喜(キム・ギョンヒ)氏が、お膳立てしたと言われている。その朴奉珠ですら、粛清を恐れていると高官は証言した。