面会に来てくれる人がいない収監者のうち半分は餓死したり、盗んだ大根の漬物を食べ過ぎて死んでしまう。死んだ人は「死体は秘密にせよ」との607本所の指示に従って家族に連絡もせず山の中に埋めてしまう。家族からの問い合わせがあっても「知らぬ存ぜぬ」で押し通す。
問:いつ出られるのか?
答:保衛司令部の許可が出たら1日前に本人を呼んで4時間の「退所講習」という教育を受けさせる。社会復帰して党と首領に忠誠を尽くしている模範退所者の事例を聞かされ、保衛指導員から「中で見聞きしたことを外で言わない」と約束させられる。
教育が終われば入所時に着てきた服を返されトウモロコシ5キロを渡される。旅費も支給されるが、両江道だろうが黄海道だろうが距離に関係なく一律額だ。さらにトウモロコシ飯と大根の漬物が入った弁当を3食分渡される。中には607に残る仲間に少しでも腹の足しになるようにと渡していく人もいる。