また、ちまたで言われている「経済的に追い詰められた北朝鮮は、日本に頼らざるをえない。また向こうからすり寄ってくる」という見立てにも、疑問を呈したい。中長期的に北朝鮮が、日本から経済支援を狙っていることは間違いない。
しかし、仮に今、北朝鮮が日本に全面的に歩み寄ったとしても、日本側がそう簡単に北朝鮮に対して経済的見返りを与えるわけではない。
ちなみにこうした見立ては、経済制裁を発動した2006年から毎年言われてきた。確かに、北朝鮮はストックホルム合意で歩み寄りを見せたが、実に8年もかかっていることを、今一度思い返した方がいい。
こうした状況が来年、再来年と続くようであれば、拉致問題に対する世論の関心もどんどん薄まるだろう。同時に、遺骨問題、日本人妻問題も先送りにされ、最悪の場合、日朝交渉自体が、途切れるという最悪の事態も考えられる。