2015年に入って大量の幹部が粛清されている北朝鮮で、国家保衛部(秘密警察)が、高級幹部の住宅まで盗聴していると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

人民保安部を視察する金正恩氏(参考写真/2013年5月2日付労働新聞より)
人民保安部を視察する金正恩氏(参考写真/2013年5月2日付労働新聞より)

一昨年の張成沢(チャン・ソンテク)氏からはじまり、最近では人民武力部長(国防省)の玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)氏が粛清されるなど、最近の金正恩体制では「いつ自分が粛清されるのかわからない」という緊張感が漂っている。

明確な粛清理由がないままに消え去ることが多く、「なぜ、粛清されたのか」という疑心暗鬼が生じるおり、平壌市民の間では「国家安全保衛部が高級幹部の盗聴が議論されている」と言われているとRFAの消息筋は語る。

「2013年12月、労働党組織部は、国家安全保衛部に対して「中央党の各部署まで盗聴している』と批判したが、金正恩氏は『間違ったことをしていないなら盗聴も怖くないだろう』と保衛部を擁護した」

金正恩のお墨付きを貰ったせいか、国家保衛部は露骨に監視と盗聴を行うようになった。高級幹部の住宅すら盗聴されている可能性もある。幹部たちは自宅での会話に非常に神経を遣い、家族との間でさえ、まともな会話ができない。なかには、盗聴の恐怖から逃れるため、子どもたちを周りの親戚の家や、他の地域へ送る幹部たちもいるという。

「労働党中央委の副部長は、子供たちの兄弟を全員を平壌市郊外江東(カンドン)郡にある親戚の家に送った。別の副部長も、子供を大学の寮に入れて、週末だけ予定された場所で家族で会っている」(RFAの消息筋)

平壌市内の大学生の消息筋も次のように語った。

「私の大学の高級幹部の友人たちは、放課後も友人の群れに入らず、所在なさげに外をうろつきながら時間を過ごしています。自分たちの言動が国家保衛部に監視されていることを知っているので、非常に周囲に気を遣い、家に帰ることすら恐れています」

彼らは家に帰らず、高級ホテルや豪華レストランで、勝手気ままな生活を送ることから、ちょっとしたひと騒動も起こしている。

「6月初めに中央党幹部と内閣陸運省幹部の子供たち男女7人が、集まって『文殊水遊び場』で遊んだあと『解放山ホテル』で酒を飲みながら、羽目を外し、平壌市人民保安部(警察)が出動する騒ぎがあった」(RFAの情報筋)

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