石原慎太郎「同志として助けてもらった」

きょう、6月22日で、日韓基本条約の調印から50周年となった。

国交を結んで半世紀、日韓は政治・経済・文化のすべての面で関係を拡大させながらも、様々な葛藤を抱えている。

そんな中でも、ある時は「蜜月」を誇示しながら、またあるときは静かに気脈を通じながら、日本の保守政界と良好な関係を保ってきた韓国発祥の団体がひとつある。

世界基督教統一神霊協会(統一教会)である。

統一教会は1954年に韓国で誕生してわずか5年後、日本でも団体を立ち上げた。同教団の「霊感商法」被害者の救済を行っている全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は、その実態について次のように説明している。

「(統一教会は)信者らが違法な物品販売等で再三刑事摘発されている反社会的団体であり、2005年以降、悪質かつ組織的な物品販売の手口のために逮捕され有罪判決を受けた信者が40名にもなっています。そして現在も、文鮮明死後2周年式典までに100億円を献金せよなどといった集金指令がくりかえし出されて、信者を手段を選ばない資産獲得にかり立てています」(全国弁連2014年9月19日東京集会での決議書)

日本人搾取→韓国送金でも自民党は無視

こうして集められた献金は、大部分が韓国へ送られる。日頃、韓国に厳しい自民党議員あたりから遠慮のない批判が出ても良さそうなものだが、むしろ最近では、統一教会の関連団体である国際勝共連合と、山谷えり子国家公安委員長の親密ぶりがメディアで話題になった。

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しかし昔に比べれば、これしきのことは驚くに当たらない。かつて自民党の大物議員らは、誰はばかることなく公然と、勝共連合と文鮮明氏にエールを送っていた。勝共連合は政治家に秘書や選挙運動員を派遣しており、これがテキメンに効いていたのだ。

統一教会が日本政界への浸透を図る上で足がかりにしたのが、日韓国交正常化の立役者となった岸信介元首相だった。

日本共産党がまとめた『韓国の謀略機関 国際勝共連合=統一教会』(78年)によると、岸信介元首相は1970年8月、勝共連合の本部を訪れ「勝共連合の諸君のあふれるような熱情と実行力とに本当に心を打たれた」などと語ったという。

岸、福田、海部…そしてハマコー

同書は統一教会や勝共連合の機関紙から、こうした保守政治家からのメッセージを多数引用している。

以下に、その一部を抜粋する。(※印は編集部)

福田赳夫 ※元首相

▽1970年9月 世界反共連盟(WACL)第4回世界大会のために、2度にわたって支持談話を「国際勝共新聞」に掲載。大会にはメッセージを送り、「このWACL大会が国民こぞって参加できる大会となり、新しい日本の世論形成の出発点となることを祈ってやみません」と強調

▽1973年10月18日、神戸勝共本部で講演。「青年がすべて勝共の皆さんのようになりさえすれば、日本の未来は決して暗いものではない」

石原慎太郎 ※元東京都知事

▽1976年第2回「希望の日晩餐会」に出席しあいさつ。「敬愛する久保木先生(国際勝共連合会長、晩餐会で記念講演)……私は同志として選挙運動を助けてもらいましたが、こんな立派な青年がいまの日本にいるのかと思った」

海部俊樹 ※元首相

▽「思想新聞」1972年8月26日付に「がんばれ!勝共青年」と題し、「日本共産党の平和革命闘争は着々とその実をあげつつあり、とくに青年婦人層にたいしての浸透にはあなどりがたいものがあります。勝共青年の活動を大いに刮目いたします」と激励

岸信介 ※元首相

▽1970年WACL大会を前に「日本の使命を果たせ」と題して支持談話。「自由を愛する諸国民の代表各位が日本に集い、この大会が開催されますことは誠に時宜に適った意義のあることと思います。WACL日本大会の成功を祈ってやみません」

▽1973年4月、統一教会本部に三度目の訪問、集まった青年にあいさつ

椎名悦三郎 ※元内閣官房長官

▽1974年アジア勝共大会で自由民主党副総裁として代表あいさつ。「わたくしは日頃から皆様方の努力に対し敬意をもって接してまいりましたが、今日ほど、この勝共運動の必要性を痛感している時はありません」と激励。

浜田幸一 ※ハマコー

▽1974年アジア勝共大会であいさつ。「久保木会長を先頭に立て、真に日本を愛する戦いに参加している諸君に心から敬意を表する。今日本の中で共産主義との苦しい戦いを展開しているのは諸君意外他には1人だにいない」

それにしても不思議なのは、冷戦が終わって「反共」を掲げる政治的な意味合いが薄れ、さらには文鮮明夫妻の北朝鮮訪問(1991年)を受けて統一教会が「親北朝鮮」に傾斜する中で、日本の保守政治家はどんな理由から勝共連合との関係を維持しているのか、ということだ。いずれ機会を改めて、この「謎」に迫ってみたい。

【連載ー日韓国交50年ー】
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