市場経済化が進む北朝鮮で、トンジュ(金主)と呼ばれる新興富裕層が数十万人に達しているという。韓国の慶尚南道昌原市の慶南大学で10日に開催されたセミナー「北朝鮮のビジネスと金融(韓国極東問題研究所主宰)」で明らかにされた。

10日に韓国の慶南大学極東問題研究所主催で行われたセミナー「北朝鮮のビジネスと金融」の様子(撮影:デイリーNKカン・スジョン記者)
10日に韓国の慶南大学極東問題研究所主催で行われたセミナー「北朝鮮のビジネスと金融」の様子(撮影:デイリーNKカン・スジョン記者)

セミナーの発表者の一人、慶南大学のイム・ウルチュル教授は「北朝鮮の私金融市場の主体はトンジュだ。数十万人の赤い資本家が北朝鮮で育っている。彼らが北朝鮮経済を牽引している」と語った。

私金融市場とは、韓国固有の表現だが、日本でいうところの「貸金業」と「闇金」をあわせたようなものだ。

イム教授は「北朝鮮は3回の核実験強行によって、国際社会は最も強力な制裁を加えられている。しかし、金正恩政権下での経済状況は金正日時代より、相対的に上向きだという。この経済変化に、私金融市場が大きな役割を果たしている」と発表した。

私金融市場が発達した理由についてイム教授は、次のように説明した。

「国家金融システムの崩壊、金正恩氏が導入したウリ式経済管理方法、私的資本蓄積が容易な市場拡大などが要因だ。金正恩氏が政権の正統性を強化するために行っている経済開発が、市場経済の領域を拡大させ、さらに持続的な私金融市場の発展をもたらした」

発表者の一人である韓国国民大学のアンドレイ・ランコフ教授は、北朝鮮の私金融市場について「市場では外貨の両替が行われている。90年代初頭に始まった貸金業で大儲けしたトンジュも多い。17~18世紀にあったような金融取引ネットワークを通じて、送金も行われている」と語った。

日本から出席した三村光弘氏(環日本海経済研究所調査研究部長)は「北朝鮮経済は、当面の間私金融市場がメインになるだろう。しかし、個人の外貨を経済建設に費やすための商業銀行がまだ存在しない。従って北朝鮮金融分野において体系的な変化が行われるように様々な面を考慮すべきだ」と語った。

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