中朝国境地帯で、密輸の取り締まりが強化され、その余波で住民生活に悪影響が及んでいると、デイリーNKの両江道(リャンガンド)の内部情報筋が8日、伝えてきた。

中朝国境を流れる豆満江
中朝国境を流れる豆満江

「元帥(金正恩氏)のためと思って、密輸を通じて『羊』を中国側に販売していた住民から不満の声があがっている。北朝鮮当局は昨年から『密輸は反逆行為』として取り締まりを強化したため、羊を密輸できなくなってしまった」

国境地域では、山奥で羊を育てて密輸を通じて売る住民たちがいた。この地域では当局から与えられる物資も少ないことから、自分たちで羊や山羊、牛の革などを中国に売って生計を立てていた。

情報筋によると、北朝鮮で飼育された「羊」は、中国産よりも安価で肉質良く評判がよかったという。羊肉は、中国でも習慣的に食べられることから、密輸を通じても購入しようとする中国側の業者も増えていた。

しかし、金正恩時代になって、国境地帯の警備が強化。羊肉の密輸もままならなくなり、国境地域住民の生計が脅かされている。

「(金正恩氏は)住民の生活問題を解決すると言ってるくせに、ワケのわからない指示を出してくるので住民からは不満が多い」(内部情報筋)

中朝国境の消息筋が伝えたところによると、金正恩氏は「違法に国境の川を越えた住民を見つけたら、現場で射殺せよ」との指示を下したのに続き、2013年末には、キリスト教や迷信行為、麻薬行為、韓流ドラマの視聴などについて厳罰に処罰するよう指示を出している。

2014年末からは、さらに警備を強化し、かつては賄賂などで見逃していた保衛指導員や保安員の召喚調査まで進めている。この時期に強化したのは金正恩氏の暗殺を描いたパロディ映画「ザ・インタビュー」動画の流入を防ぐためだったと現地消息筋は見ている。

「オヤジ(金正日氏)は、『時には見て見ぬふりをしろ』という方針だったが、息子(金正恩氏)は、引き締めるだけだ。よっぽど自分の体制に自信がないように見える。密輸防止に対する住民不満より、外部社会の情報が流入することを恐れているようだ」(現地情報筋)

ただし、いくら密輸を強化しても住民生活に直結していることから、そのうち抜け道が生じて、結局は密輸を根絶することは無理に等しいと情報筋は付け加えた。

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