北朝鮮では、今年10月10日の朝鮮労働党創建70周年記念に向けて、農業生産量を高めるため大々的な動員が行われている。しかし、動員された住民たちの働きぶりに現場からクレームが続出しているとデイリーNKの内部情報筋が伝えきた。

板門店に程近い農村の風景(画像:Lawrence Wang

板門店に程近い農村の風景(画像:Lawrence Wang)

平安南道(ピョンアンナムド)の内部情報筋は次のように語る。

「田植えやトウモロコシ、ジャガイモの種まきが行われているが、いやいややらされているので、動員された住民の仕事ぶりは適当だ。日照り対策も、いいかげんで植えたそばからどんどん枯れていっている」

動員された大人は、周辺の顔色をうかがいながら、適当に仕事をする。そのしわ寄せは、真面目な中学生に及ぶ。上からの指示で早朝からタライに水を汲んで田畑に運ぶが、広大な協同農場の田畑にタライで水を撒いても焼け石に水とのこと。

中学生が、重労働している横では、大人たちは農場監督員の目を盗んで日陰でトランプに興じたり、酒を飲む。こうした状況を見た農場監督員は「働かないなら給食抜き」と警告したり、「もう支援に来てもらわなくてもいい」と上層部に抗議している。

一方、個人耕作地はかなり事情が違うようだ。

個人耕作地の農民たちは、丹精込めて田畑の管理をする。金日成氏の「チュチェ農法」に縛られる協同農場と違って農業のやり方も自由だ。最近で人気なのが「ビニール薄膜農法」だ。

これは、畑に水分蒸発を防ぎ温度を一定上に保つビニールをかぶせて、35センチ間隔で穴を開けて種を蒔いていくというもの。こうすると作物がよく育ち収穫量も増える。

情報筋は「機材が足りない協同農場では『チュチェ農法』もうまくいかないが、個人耕作地を管理する農民たちは様々な方法を編み出して収穫を増やしている」と、「チュチェ農法」を暗に批判した。

住民たちは「自分の土地」という意識があってこそ大事にして能率も上がる。協同農場では何をどうやっても豊作など夢のまた夢」と口々に言っていると情報筋は伝えた。

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