北朝鮮の朝鮮中央テレビは、22日と23日の二日間、2回にわけて叙事詩「白頭山の烈風」を放送し、過去の粛清の事例を挙げて反乱分子、すなわち「反党分子」を非難した。

張成沢(チャン・ソンテク)氏や最近の玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)氏など大物幹部が粛清されるなか、金正恩体制に刃向かう可能性がある不満分子への警告と見られる。

朝鮮中央テレビが放送した「白頭山の寒風」(画像:朝鮮中央テレビ画面キャプチャー)
朝鮮中央テレビが放送した「白頭山の烈風」(画像:朝鮮中央テレビ画面キャプチャー)

「白頭山の烈風」では、60年前に粛清した幹部の名前を引き合いに出し、金日成氏の唯一指導体制に歯向かった反逆者として、次のように厳しく非難した。

「党内に朴憲永(パク・ホニョン)、李承燁(リ・スンヨプ)、崔昌益(チェ・チャンイク)のような反党宗派のやつらがまた現れたらどうする?」

「反党宗派分子が現れたら、どいつだ!出てこい!」

「再び太陽(金氏一家)に向かってガタガタ抜かす者が、いるならば、直ちに引きずり出して撃ち殺してやる!」

60年も前に粛清した人物を改めて非難する朝鮮中央テレビ(画面:朝鮮中央テレビ画面キャプチャー)
60年も前に粛清した人物を改めて非難する朝鮮中央テレビ(画面:朝鮮中央テレビ画面キャプチャー)

 さらに、放送では「粛清の歴史から教訓を得るべきだ、反逆者たちには白頭山の寒風の恐るべき鉄槌が下るなど」と厳しく警告した。

「白頭山の烈風」で無慈悲に非難された朴憲永氏は、南朝鮮労働党の党首を務めた朝鮮半島革命史に刻まれるべき人物である。

朴憲永は、朝鮮戦争の敗北などをめぐって故金日成氏と激しく対立。最後は米国のスパイに仕立てあげられ、側近の李承燁と共に1955年に処刑された。北朝鮮ではいまだに「反党分子」の代名詞だ。

崔昌益は、日本の植民地統治家の朝鮮で独立運動を行っていた人物だったが、金日成氏の独裁を批判したため、「8月宗派事件」で投獄され、1957年10月に獄死した。

今回放送された叙事詩のタイトルについて、朝鮮中央テレビはわざわざ「昨年党の唯一的令導に挑戦した現代版宗派分子どもを清算する際に使った表現だ」だと説明しながら、張成沢氏を改めて批判した。

「白頭の烈風(ペクトゥエカルパラム)」とは、張成沢処刑以後から北朝鮮国営メディアに出てくるようになった言葉だ。

先月30日に処刑されたと伝えられている玄永哲氏は、28日に開催されたモランボン楽団の公演を最後に動静が途絶えている。彼が最後に見たとされる公演タイトルが、まさに「白頭の烈風精神で生を輝かす」だった。

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