北朝鮮の両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市で殺人事件が相次いで発生して、住民の間に動揺が広がっていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

事件が起きたのは5月16日。惠江洞(ヘガンドン)45班に住む闇両替商のチェ・グァンオクさん(56)が金槌で殴られ殺害された。金目の物がすべてなくなっていることから、強盗目的の殺人と思われる。

両江道の司法当局は、事件当日の午前9時ごろ、男性3人が被害者の家に入るのを見たという住民の証言を確保したが、事件現場からは指紋も遺留品も発見されず、捜査は難航している。

一方、5月12日には鉄道員が妻を殺害して自宅に立てこもる事件が発生したが、その結末は悲惨なものだった。

妻を殺害後立てこもり、金正恩批判し自殺した鉄道員

事件が発生したのは、市内の新興洞(シヌンドン)28班。マンションの2階に住む恵山駅鉄道分局の労働党指導員、シム・ソングク容疑者(42)が妻を刃物で刺した。妻はまもなく死亡した。

シム容疑者は犯行後、刃物を手に持ったままベランダに出て、同じマンションに住む妻の家族と幹部を大声でなじりだした。そして、その次はあろうことか金正恩氏に対して罵詈雑言を並び立てたのだ。周りで心配そうに見守っていた人々は一様に唖然としたという。

保安員(警察官)がシム容疑者の自宅に突入し取り押さえようとしたが、容疑者は刃物で首を刺し2階から飛び降りて自殺してしまった。

5月6日には市内の恵明洞(ヘミョンドン)「恵山軍事学校」のそばにある民家でプロパンガスのボンベが爆発し、4戸が焼失した。このガス爆発で60代の夫婦が死亡し、両隣に住む一家が重傷を負った。

さらに、4月には金正恩氏の現地指導に 大問題が発生した。

大好きな飛行機に乗れずに正恩氏激怒

事件が起きたのは4月18日。恵山と同じ両江道にある朝鮮人民軍空軍三池淵(サムジヨン)飛行場所属のパイロット、キム・チュンボム中尉(36)が同僚とともに恵山に買い物に出かけた。ところが、キム中尉は恵山の町中で突然姿をくらましてしまった。

多くの軍事機密を知っているキム中尉が失踪したことで、金正恩氏の身の安全が憂慮される事態となった。中朝国境を流れる鴨緑江沿いにある恵山で姿をくらましたキム中尉が脱北してスパイに金正恩氏の身辺情報などを伝えたおそれがあるからだ。

金正恩氏は、4月18日に空軍パイロットたちと共に三池淵飛行場に程近い白頭山に登ったが、平壌への帰途で大好きな飛行機に乗れない事態となった。

緊急指名手配が全国に布告されたが、キム中尉は未だに逮捕されていない。金正恩氏は、平壌に戻ってから白頭山視察後に事件の報告を受けた。飛行機に乗れなかった恨みからか、三池淵飛行場の幹部を厳しく問責し、粛清したと伝えられている。

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