北朝鮮では4月から女性に対しても兵役の義務が課せられたが、当初から難航しているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。賄賂を渡して兵役を免除してもらうなどの不正が横行しているからだ。

朝鮮人民軍の女性海軍兵士たち(本文とは関係ありません)
朝鮮人民軍の女性海軍兵士たち(本文とは関係ありません)

お上の脅しも効かず…庶民も幹部も兵役逃れ

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、娘を持つ親は娘が軍隊に行かないようにあらゆる手段を使っているという。これに対して当局は『兵役拒否は処罰の対象』などと脅しているが大きな効果はない。

例えば、トンジュ(金主)や幹部たちは、医師の面前で札束を積んで虚偽の診断書を作らせ娘の兵役免除を勝ち取る。また、大学への推薦を得て兵役を逃れるために学校関係者に賄賂を渡す手法も横行している。

軍事動員部の徴兵担当者は担当地域を回り兵役対象者の親から「入隊保証書」を取りながら「兵役逃れ」を防ごうとしているが、できるのはその程度。むしろ、この機会を利用して一儲けしようとする徴兵担当者もいる。親たちが兵役逃れのために地域の保安員(警察官)に渡した賄賂を保安員と徴兵担当者で山分けする仕組みだ。

賄賂と拝金主義が横行する北朝鮮

娘の兵役を免除させるほどの賄賂はなくても、少しでも条件のいい部隊に配属してもらえるように賄賂を渡す親も多い。

「ある女性は、江原道(カンウォンド)の山奥の部隊に配属されることになったが、他の地域へ希望した。気候や食糧事情の厳しい地域だったからだ。すると軍事動員部は、中国人民元で1500元(約2万8000円、コメ400キロ相当)を要求。その通りにすると平壌近郊の楽な部隊への配属となった」(情報筋)

男性の兵役もカネで解決することが一般化している北朝鮮。

女性への兵役制度は今年から導入された。初年度で「免除は難しい」との見方もあったが、初めから抜け道だらけだった。こうした風潮に住民たちは「元帥様(金正恩氏)の指示もカネで買える」などと言い合っているという。「地獄の沙汰も金次第」を地で行く北朝鮮の現状とも言える。

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