北朝鮮の両江道(リャンガンド)白岩郡(ペガムグン)地域に建設中の「白頭山先軍青年発電所」建設現場で、無理な工期から死亡事故が続発しているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

「白頭山先軍青年発電所」の建設現場を現地視察する金正恩氏/2015年4月20日付労働新聞
「白頭山先軍青年発電所」の建設現場を現地視察する金正恩氏/2015年4月20日付労働新聞

「発電所の建設現場で、落石や石山の発破(爆破)作業中の事故が続出し、何人かの突撃隊員(動員された建設部隊)が死亡した」(内部情報筋)

北朝鮮の建設現場では、もともと安全環境が整っていない。それに加えて伝統的なスローガン「速度戦」を唱えることから、突貫工事になりがちで、頻繁に事故が起きるという悪循環に陥っていると内部情報筋は伝える。

「死亡事故が起こっても、当局は速度戦のみを強調して安全対策を取ろうとしない。今年の初めにも、酷寒のなかで水中作業した突撃隊員が凍傷になったが、それでも作業を続けなければならなかった。今も『速度戦』と『殲滅(せんめつ)戦』を言うだけで安全対策に関しては一切後回しだ」(内部情報筋)

金正恩氏が、早期完工を指示した発電所

先月20日の労働新聞によると、金正恩氏が「白頭山先軍青年発電所」を現地指導し、労働党創建(10月10日)70周年まで完工させるように指示。現場のノルマはますます厳しくなっているという。

先軍青年発電所は2002年1月に着工した。工事期間は10年で、2012年の太陽節(金日成氏の生誕記念日)に、完工する計画だった。しかし、建設場所の土質に問題があることがわかり、工事地域を移動させたことから、さらに「速度戦」が叫ばれるようになった。

さらに、輸送手段が不足していることから、現場で死亡者を火葬し、3ヶ月後に遺骨が実家に送られるケースもあり、遺族たちも憤っている。

「落石で死亡したある隊員の遺族は、何の断りもなく火葬したことから建設現場まで乗り込んで抗議した。建設現場に動員される突撃隊員たちが、比較的貧しい家庭出身者が多いことから、上層部も配慮が足りない」(内部情報筋)

北朝鮮で建設事業に従事した経験を持つ脱北者は、次のように語る。

「秋の労働党創建日にむけて大々的な建設事業を進めているが、全体の管理も疎かになり、危険性はより高まるだろう」

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