北朝鮮は、無償医療制度を誇っている。ちょっとした風邪からMRT、CTスキャン、出産、手術に至るまで全部無料で受けられると自画自賛しているが、実態はかなり違うようだ。

金萬有病院
平壌の金萬有病院(本文とは関係ありません)

病院を辞めて診療所を開業する医師続出

咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、最近、道、市、郡の病院は患者があまりおらず閑古鳥が鳴いているという。

実は、治療を受けたい患者たちは、評判のいい医師がいる「民間診療所」へ行くのだ。

そもそも、国家や地方機関が運営する病院に「クスリ」がない。クスリもないのに単なる紙くずにすぎない処方箋を出すだけだ。医師も医大や専門学校を出たての新人が多く、診断も治療も杜撰というのが現状だ。

さらに、国家が運営する病院では、「思想教育関連の行事」が多く治療する時間を大幅に削られ、診療時間は午前の僅かな時間だけだ。あとは看護師任せだという。

医師たちはも懸命に患者の治療にあたるが、薄給で労働環境は悪いことから、国営病院の課長クラスや専門病棟の担当医でさえも、病院を辞めて、自宅で診療所を開く。

高かろう悪かろうの国営病院、親切丁寧な民間診療所

こうした民間診療所の医師たちは、一般の患者も診察するが、幹部やトンジュ(金主)の家に往診もする。経験豊富で腕もあり、各種医薬品も取り揃えている。入手困難な薬は、医師自らが作ることもある。人気が高いのは当然だ。

民間診療所の治療費は病気によって異なるが、帯状疱疹の場合は15~20万ウォン(約2250~3000円)。コメ1キロが5000ウォンの国ではかなりの大金だ。

ちなみに、国営病院に行けば無料かというとそういうわけでもない。帯状発疹の場合、通常の治療費13万ウォンに加えて、課長、病院の幹部、医師、看護師などに「賄賂」を渡さざるをえないので、結局は高く付く。

庶民たちは「国営病院でも結局は金を払わされる。どうせ払うなら丁寧に診てくれる開業医の方がいい」と、北朝鮮の誇る「無償治療」の現実を皮肉っているという。

    関連記事