北朝鮮の都市でも農村でも、至る所で見かけるのがソーラーパネルだ。外灯を灯すためのものもあるが、個人用のものも非常に多い。その普及率の高さは日本をしのぐほどかもしれない。

ソーラーパネルが設置された家が目立つ北朝鮮の地方都市
ソーラーパネルが設置された家が目立つ北朝鮮の地方都市

金持ちも庶民もソーラーパネル設置

北朝鮮の電力難が慢性化したのは90年代からだ。2000年ごろからは国に頼らず自力で電気を確保する人々が増えた。当初は車のバッテリーで家庭用電源を確保していたが、2010年ごろからはソーラーパネルを使う人が急増した。

かつて、高価なソーラーパネルを使えるのは幹部とトンジュ(金主)ぐらいだったが、今では都市住民の4割が使っていると言われている。北京製と上海製のものが一般的で、10ワット用が人民元で80元(約1540円)、30ワット用が240元(約4630円)、50ワット用が400元(約7700円)、100ワット用が800元(約1万5500円)だ。

一番安いものでも昼間に充電しておくと、夜に12ワットの照明を使ってテレビを見られるほどの電気が蓄電される。お金持ちはもちろん、貧乏な人も、曇の日でも韓流ドラマを見られるように2枚、3枚と設置する。そのためになけなしのお金をはたく。

庶民は「金正恩元帥様も解決できない電力難をソーラーパネルが解決してくれた!」と口々に言う。金正恩氏よりもソーラーパネルの方が「使える」という皮肉だ。

ソーラーパネルの盗難横行、対処法は「日が暮れたら家の中にしまう」

そんなソーラーパネルが盗まれる事件が相次いでいる。

新義州(シニジュ)のデイリーNK内部情報筋によると、寝ている間にソーラーパネルを全部盗まれることがあるとのことだ。盗まれたものは闇市で売られたり盗んだ人が使ったりする。あまりにも多い上に、「私有財産」の概念が希薄な北朝鮮では、保安員(警官)に通報してもまともに取り合ってくれない。

そこでソーラーパネルには盗難防止用の警報ベルを付けておく。手を触れるとコイルが振動してベルが鳴る仕組みだ。しかし、泥棒の方が一枚上。コイルを切断してソーラーパネルを悠々と盗んでいくという。それを隣の家に売りつけるほどの大胆さだ。

そんなこともあって、日が昇れば屋根の上にソーラーパネルを設置して、日が暮れたら家の中にしまう人が多い。面倒な作業ではあるが、大事な財産を守るためには致し方ない。庶民は「金正恩元帥様は電力難も泥棒も防いでくれない。元帥様から受けた恩を一体どうやって返したらいいのやら」などと皮肉っているという。

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