北朝鮮当局は韓国人男性2人をスパイ容疑で逮捕し、先月26日に容疑者とされた男性の記者会見を開いた。また、朝鮮中央通信など北朝鮮の各メディアは中国丹東にあるとする韓国の国家情報院の拠点のリストを発表した。

国家情報院の拠点リストはデタラメ

それ以降、丹東の韓国人経営の店舗が大きな打撃を受けていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

丹東で韓国食料品店を営む韓国人はRFAの取材に対して「北朝鮮がリストアップした業者の中にはすでに店を畳んだものや、店主が韓国人でないものも含まれている。朝鮮中央通信の報道はデタラメだ」と語った。

北朝鮮に国家情報院の「反共和国謀略拠点」と名指しされた商店の韓国人店主は「(容疑者とされた)キム・グッキというやつは知らないし会った記憶すらないのに、うちが国家情報院の拠点だなんて、とばっちりだ。バカバカしくて開いた口が塞がらない」と語った。

エボラ不況が去ったと思ったら今度はスパイ不況

丹東税関周辺にはハングルの看板が掲げられたお店が軒を並べている。食料品、携帯電話から工作機械、自動車に至るまでありとあらゆる業種の店が、主に北朝鮮向けの商品を扱っている。さらにそこに出入りする北朝鮮の貿易関係者が利用するレストラン、ホテル、カフェ、美容室なども存在し、金氏一家のバッジを付けたまま歩く北朝鮮の人々も見かけられる。

北朝鮮が昨年10月末から、エボラウイルスの国内流入を防ぐという理由で入国者の強制隔離措置と外国人の入国禁止措置を取ったことで、丹東の対北朝鮮ビジネスは大打撃を受けた。それが3月に解除されようやく息を吹き返しつつあったところに今回のスパイ事件が発生。災いが降りかかることを恐れた北朝鮮の貿易関係者も韓国人経営の店には立ち寄らなくなってしまった。

丹東の飲食店に入れず、困る北の駐在員や官僚たち

北朝鮮の貿易関係者と丹東で交流を持つ朝鮮族は、RFAの取材に「北朝鮮の貿易会社駐在員たちも出張に来た官僚たちも韓国料理屋に行こうにも行けず、だからと言ってそれ以外にいいお店もなくて困っている。スパイ事件を『くだらないこと』だと吐き捨てるように言っている」と語った。

韓国人経営の店のみならず、韓国人が頻繁に出入りする中国人経営の店にまで、その累は及んでおり、丹東税関周辺の商圏に大不況の嵐が吹き荒れている。本格的な景気回復は、スパイ事件の余波が去り韓国人観光客も増える夏以降にずれ込みそうだ。

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