平壌の女子大生2人©Matt Paish
平壌の女子大生2人©Matt Paish

北朝鮮で頻繁に使われる2つの敬称がある。同志(トンジ)とトンム(友達:〜君というニュアンス)だ。同志は目上の人に、トンムは同年輩や年下の人に使われるが、北朝鮮の若者は「ダサい」という理由で使わなくなりつつあると韓国の聯合ニュースが伝えた。

相手を敬いつつ親近感を与える「同志」

北朝鮮で発刊された国語辞典「朝鮮語辞典」によると、同志とは「思想や志を共にし同じ目的のために闘争する人」と意味づけられている。

この言葉が上下関係を重要視する朝鮮に導入されて目上の人に対する敬称に意味合いが変化したものと思われる。

例えば、金日成氏の一般的な呼称は「首領様(スリョンニム)」と「金日成同志」の2つだが、同志と呼ぶと敬いつつも親近感を与える表現となるとのことだ。

また、下の名前を呼ばずに「姓+敬称」は韓国では失礼な表現に当たるが、北朝鮮では「朴同志」などと呼んでも失礼に当たらない。

北朝鮮の雑誌「文化語学習」最新号では「言語生活における文化性と言語礼節」と題した論文で次のように指摘している。

「若者たちが同志やトンムという表現を省略する傾向にある」

また、「最近、同志、トンムという言葉は公式の場でしか使わない若者が増えている。年上の人にタメ口をきく若者も増えている」と論文は紹介した。

韓流ドラマの影響で「同志はダサい」

北朝鮮で、長年使用されてきた「同志」と「トンム」が使われなくなった理由について平壌の大学を卒業した30代の脱北者は、次のように語った。

「ダサいからだ。最近の北朝鮮の若者は韓流ドラマの影響で同志やトンムという言葉を古くさくてダサいと思う」

こうした風潮を反映してか、一部では「オッパ(お兄さん)」などの韓国式の表現も使用されている。

長年、北朝鮮で使用されてきた言葉が使われなくなっている現状について、前述の北朝鮮の論文は「友達同士で呼び合う時に『トンム』という敬称を付けるのは変だと考えるのは、労働党の周りに一つの思想と意志で一心団結した我が国の社会において古臭い観点と態度であるということを心に刻むべきだ」と釘を差した。

回りくどい言い方だが、要するに「トンム、トンジ」を使わないのは「非社会主義的」な文化に毒されているということだ。

ぶっきらぼうに聞こえる北の言葉

ちなみに、北朝鮮での一般人同士での敬語の使用頻度は、実は韓国ほどではない。さらに、北朝鮮の言葉は韓国の言葉に比べると、若干ぶっきらぼうに聞こえる。

例えば韓国では他人に道を聞く時に「マルスムチョムムッケンヌンデヨ」(ちょっとお聞きしたいのですが)という表現が使われるが、北朝鮮では「マルチョムムルプシダ」(ちょっと尋ねます)という表現をよく耳にする。

後者の北朝鮮風の表現を、韓国で年上に使うと非常に失礼な表現になる。しかし、北朝鮮ではある程度年上の人にもこの表現が使われているようだ。

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