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北朝鮮にいた頃に比べると、確かに生活はよくなったが「幸せとは言えない」とキムさんは語る。忙しい仕事の合間を縫って大邸の人たちに北朝鮮の実態を伝える証言者としても活動しているが、偏見はそう簡単には消えない。

大邸だけではない脱北者への偏見と差別

ここでは保守的で排他的とされる大邸の例を取り上げたが、脱北者に対する偏見の眼差しと差別は大邸だけに限ったことではない。

2006年1月の韓国国家人権委員会の脱北者約500人を対象にした調査によると、全体の67%が「職場で差別を受けたことがある」と回答。具体的には所得の差、正当な理由のない非正規雇用、昇進差別、職場内でのイジメなどが挙げられている。

「なぜ、同じ民族なのに差別するのか?」という疑問も浮かぶが、脱北者の立場は、日本における「日系ブラジル人」や「日系ペルー人」などの「内なる外国人」とある面似ていると言えよう。