北朝鮮当局が、日本製中古車などの取締りに力を入れている。平壌市内を走行する自動車の急速な増加に交通安全行政が追い付いていないらしく、「金正恩氏の警護にも支障をきたしている」とする情報もある。

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平壌市内の高麗ホテル前を走る、かつて阪神バスで使用されていた車両/西船junctionどっと混む提供

北朝鮮では、国家主導の計画経済が行き詰まり、大衆レベルで市場主義的なヤミ経済化が進行。それに従い、国家の統制を受けないヤミ営業の運輸業者やタクシー(日本で言うところの白タク)が急増中だ。こうした車は外来語の「ソビス(Service)」と朝鮮語の「車(チャ)」を合わせ、「ソビ車(チャ)」と呼ばれている。

北朝鮮はもともと、ガソリンなどの燃料供給が貧弱なため、諸外国に比べると車の走行台数が少なかった。その上、地方から平壌への車の乗り入れは治安上の理由から厳しく規制されてきたため、交通安全行政も厳格なものではなかった。

しかし最近では、ヤミ経済化の進行にともなって平壌への乗り入れ規制などが形骸化。交通事故の多発などに直面した当局は、型の古い車や中国から密輸された車の摘発を始めている。

まず、当局のターゲットになったのが日本車だった。最初の「日本車摘発令」が出されたのは2007年ごろで、「金正日総書記が1月1日に錦繍山記念宮殿を参拜して出てきた後、道を塞いでいる故障した日本製の車を目撃して、回収令を下した」(内部情報筋)と伝えられている。

また、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、「2013年には交通渋滞のせいで金正恩氏の警護に支障が出た」とされている。どのような支障が出たかは詳らかでないが、正恩氏の専用車が渋滞に巻き込まれた可能性もある。

もっとも、朝鮮総連や在日朝鮮人が持ち込んだ日本車は、性能面から言っても北朝鮮にとって重要な交通・運輸手段であり、当初は摘発令が徹底されることもなかった。

「しかし、国連や日本政府による経済制裁を受けて部品の輸入が止まってしまい、メンテナンスのされていない日本車の事故が多発するようになった。そのため当局が数次にわたって摘発令を出しており、最近も取締に力を入れている」(同)

その後、日本車に替わって主流となったのは中国車だが、当局に登録しない密輸車が横行。最近では当局が、車を走らせるのに本来必要な4種の書類(検査(登録)証・検査(車検)票・免許証・運行日誌)のチェックを厳格化し、不備が見つかれば即時、車を没収しているという。

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