シリアに派兵されるパイロットと10月23日に面談した金日成は、エジプト派兵と同様に、交戦まで情報漏洩を防ぐように命令した。さらに大量の物資もシリアに運ばれた。エジプトと同様、機密扱いの派兵であった。

北朝鮮のパイロットは実際にシリアに派兵された。

しかし、それは停戦後であったはずである。1973年10月22日、国連安保理で現状での即時停戦を求める決議が採択され、エジプトは10月23日に決議を受諾。翌日にはシリアも受諾した。戦闘がまったくなくなったわけではないが、第4次中東戦争は停戦によって一旦の区切りがついた。

11月7日、金日成はエジプトにいるパイロットたちに祝電を送り、全員が無事であることを祝った。強力なイスラエル空軍と戦った北朝鮮のパイロットには、1人の犠牲者もいなかったのである。(つづく)

(宮本 悟 聖学院大学教授)

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朝鮮人民軍 海外戦記

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宮本 悟(みやもと・さとる)

聖学院大学基礎総合教育部特任教授。1970年生まれ。1992年、同志社大学法学部卒。1999年、ソウル大学政治学科修士課程修了(政治学修士号)。2005年、神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了(博士号/政治学)。2006年から日本国際問題研究所研究員、2009年から聖学院大学総合研究所准教授などを経て、2014年から現職。