シリアに派兵されるパイロットと10月23日に面談した金日成は、エジプト派兵と同様に、交戦まで情報漏洩を防ぐように命令した。さらに大量の物資もシリアに運ばれた。エジプトと同様、機密扱いの派兵であった。

北朝鮮のパイロットは実際にシリアに派兵された。

しかし、それは停戦後であったはずである。1973年10月22日、国連安保理で現状での即時停戦を求める決議が採択され、エジプトは10月23日に決議を受諾。翌日にはシリアも受諾した。戦闘がまったくなくなったわけではないが、第4次中東戦争は停戦によって一旦の区切りがついた。

11月7日、金日成はエジプトにいるパイロットたちに祝電を送り、全員が無事であることを祝った。強力なイスラエル空軍と戦った北朝鮮のパイロットには、1人の犠牲者もいなかったのである。(つづく)

(宮本 悟 聖学院大学教授)

【連載:朝鮮人民軍 海外戦記】

中東編(7)
href=”https://dailynk.jp/archives/37917h2″
target=”_blank”>
北朝鮮の弾道ミサイル開発は空軍のエジプト派遣から始まった

朝鮮人民軍 海外戦記

ベトナム編(1) ホワイトハウスに乗り込んだ北朝鮮「ベトナム戦争」の英雄
ベトナム編(2) ホー・チ・ミンから届いた「派兵要請」の親書
ベトナム編(3) 米軍機26機を撃墜した「北の戦闘機乗りたち」
ベトナム編(4) 北朝鮮版「ランボー」がたどった数奇な運命
中東編(1) アラブ諸国に加勢しイスラエルと戦っていた北朝鮮空軍
中東編(2) ベトナムに続き第4次中東戦争に参戦した北朝鮮の狙いとは!?
中東編(3) 金日成を対イスラエル参戦に動かした北朝鮮「元学校教師」の履歴書
中東編(4) エジプト軍の英雄を驚嘆させた北朝鮮の「地下軍事要塞」
中東編(5) 北朝鮮空軍「エジプト極秘派兵」はイスラエルに見破られていた
中東編(6) 第4次中東戦争が勃発、北朝鮮空軍とイスラエルF4戦闘機の死闘
中東編(7) 北朝鮮の弾道ミサイル開発は空軍のエジプト派遣から始まった
中東編(8) 暗殺、亡命、失脚…北朝鮮空軍「中東派兵」立役者たちの運命

宮本 悟(みやもと・さとる)

聖学院大学基礎総合教育部特任教授。1970年生まれ。1992年、同志社大学法学部卒。1999年、ソウル大学政治学科修士課程修了(政治学修士号)。2005年、神戸大学大学院法学研究科博士後期課程修了(博士号/政治学)。2006年から日本国際問題研究所研究員、2009年から聖学院大学総合研究所准教授などを経て、2014年から現職。