義務教育期間の変更で教育内容も変化

北朝鮮では、2013年から義務教育の期間が12年制から13年制に1年延長されたが、思わぬ効果が生まれ学生や保護者も喜んでいるという。

北朝鮮両江道(リャンガンド)のデイリーNKの内部情報筋は次のように語った。

「昨年から学生の授業時間も授業方法も変わった。以前は、主に理論を教えていたが、最近では実習を中心とした授業に変わった。子供たちの学習態度もいい方向で変わっており保護者も喜んでいる」

「理論」から「実習」へと授業内容が変わったことには理由がある。

北朝鮮の義務教育制度は本来11年制だが、2013年から12年制へ変更され、小学校は4年制から5年制になった。しかし、教員が不足するため地方では、一般住民から教師を選抜。この教員たちによって理論中心から現場中心へ教育内容がシフトした。

「新しく選ばれた教師達は、理論的な教育は出来ずに、自分たちの体験に基づいた現実的な授業をはじめた。こうした労働者階級出身の教員たちの活躍が、高く評価され中央の教育省までに報告された。今では全国の学校が実習中心の授業になっている」(両江道の情報筋)

現在は、午前にほとんどの授業を終えて、午後に課外活動の時間になっている。教室で退屈な理論授業をするよりも、現実的な実習授業で学習効果が優れていると概ね評判がいい。過去の実習授業といえば、女子の料理と編み物や、男子生徒の自動車が2時間ずつあったぐらいだが、今では大幅に増えたという。

「化学などの実習も1学期にせいぜい1回ぐらいだったが、回数も増えたことから学生たちも経験と知識を学んでいる」(両江道の情報筋)

北朝鮮の教育現場にもIT化の波

さらに、コンピュータを活用した授業も増えていると情報筋は伝える。

「体育などでは、学校の運動場でサッカーやバレーボール、バスケットボールを競技するぐらいだったが、今ではコンピュータでお手本になる選手たちの技術を見せながら、より現実的な教え方をしている」

かつては、学校に1台あればいいほうのコンピュータも、今では10台以上あることも珍しくない。美術の授業でもコンピュータでイラストが描かれることも多い。こうした実践的な学習を通じて、学生達も自信をもちはじめ、積極的な議論が行われている。

こうした現場からの教育改革、いわば「北朝鮮・草の根教育改革」は、全体的にいい影響を生み出しているようだ。その一方で、偶像教育も続けられていることから、先行きを心配する声もある。

「北朝鮮当局は、いまだに金日成、金正日革命の歴史や革命活動など、偶像化科目を基本教育に掲げているので、教育が根本的に変化したわけではない」(両江道の情報筋)

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