北朝鮮当局は、日常的に海外との違法通話の取締が行っている。2月に入って、国内用の合法的な携帯電話を監視する「1080常務」が本格的な活動を開始。携帯電話を使うには周辺を気にせざるを得ない状況となったと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
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町中で携帯電話取締 ガラケーを解約するユーザーも
咸鏡北道の内部情報筋によると、外で携帯電話をいじっているとどこかから1080常務の取締要員がやって来て韓流映画やK-POPのファイルが保存されていないかを厳しくチェックするという。
1080常務の厄介な取締に加えて、高価な携帯電話を狙った強盗事件も多発しているため、携帯電話を解約する人も増えていると内部情報筋は語る。
ところが解約すると電話機は回収されてしまい、何の補償も受けられないシステムになっているという。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面その一方で、解約を契機にスマートフォンに乗り換えるユーザーが急上昇。一部では「もはや生活必需品」と言うほどの人気だと内部情報筋は語る。
ガラケー解約しSIMカードを抜いたスマホを買う人が急増
北朝鮮ではスマートフォンを「知能型手電話(チヌンヒョンソンチョナ???????)」「タッチ(touch)」と言う。北朝鮮の「スマホ人気」に乗じて中国から中古のスマホを密輸する業者も現れている。
スマホと言ってもSIMカードを抜いてあることから、通話機能は使えない。それでも通話以外の様々な機能を使うことは可能で、ある程度は当局の取締を避けることもできる。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面「1080常務の調査が面倒で携帯電話を解約する人が多いが、スマホはゲームや動画が内蔵されていたり、映画や音楽ファイルを大量に保存したメモリーカードも使える」
「魅力的な機能が多いので通話機能がなくてもスマホを持つ人が増えている。(SIMカード無しで通話機能できなくても)スマホを持つユーザーはどんどん増えるだろう」(内部情報筋)
北朝鮮当局も止められないデジタル化の波
北朝鮮当局は、韓流映画のみならず海外動画が国内流入することを極端に嫌がる。2013年、金正恩氏の夫人である李雪主氏が所属していたことで知られている「ウナス(銀河水)管弦楽団」が解散、一部メンバーが処罰される事件が起きたが、この理由にも海外動画が絡んでいるという説がある。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面この事件に関して、RFAの情報筋は「携帯電話のブルートゥースで日本のエロ動画をシェアしていたことがバレた」と話すが、一方では金正恩氏を揶揄した動画の拡散が発覚したからという説もあり、いまのところ真相は不明だ。
ガラケーからスマホという流れに限らず、デジタル化の急速な進化は、密閉国家・北朝鮮でも止めることはできないようだ。