鉄鉱石を積んで中国の南坪税関に向かうトラック(本文とは関係ありません)
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中朝国境に面した咸鏡北道(ハムギョンブクト)の会寧(フェリョン)市を流れる会寧川。町の人々はこの川の水を飲水として利用してきたが、最近汚染が深刻になっている。

金採掘に使う「塩素酸カリウム」で川が汚染

咸鏡北道のデイリーNK内部情報筋は次のように伝えている。

「会寧のそばにある昌斗(チャンドゥ)に最近出来た金鉱では採掘に『サイナ』を使っている。汚水が川に垂れ流されて、川の水を飲んだ住民に健康被害が出ている」

この「サイナ」とは塩素酸カリウムのことだ。鉱物の分析や金の採取に使われる物質でマッチの原料としても使われている。誤って大量に摂取した場合、下痢、腹痛、腎不全などを引き起こし、5?30グラムで死に至る。

これが北朝鮮では雉やウサギを捕まえるときに使われているが、金から鉄や亜鉛などの不純物を取り除くためにも使われる。

浄水施設の予算はなく各家庭から大金徴収

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早急に対策を取るべきところだが、会寧市当局は浄水施設を作るカネを住民から出させようとしている。

「患者の急増に対応するため会寧市当局は川の水を煮沸する施設を作ろうとしている。しかし人民班に『予算がないので各家庭で10万ウォン(約1500円、コメ20キロ分に相当)ずつ出すように』と指示を下した」

「その日の食い扶持を稼ぐのに精一杯なのに10万ウォンなんて大金を出せるわけがない。指示が下されてから2週間経つが自発的に払おうという人は誰もいない」

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「最近、ある高級幹部が10万ウォンを払ったが『見習え』という意味合いだろう。しかし『払ったカネはどうせ庶民から絞りとったもの』などと言って焦る人は誰もいない」(内部情報筋)

行き当たりばったりの北朝鮮の衛生政策

北朝鮮では浄水場などの施設が整っていない上に水道管の老朽化が激しい。水道からミミズが這って出たり、海に近い地方では水道管が錆びて赤い水が出る。

「汚染された水を飲んで病気になる人が発生しても当局は『隔離しろ』『水は沸かして飲め』と言うだけだ。浄水場を作れと要求が出たら当局は『カネはない。必要ならカネを出せ』と言う」(元高級幹部)

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エボラウイルスの流入を防ぐと称して帰国者を21日間強制隔離したり外国人観光客の入国を禁止しているが、エボラの心配をする以前にもっと心配することがあるはずだ。