北朝鮮の興南肥料工場 ©Clay Gilliland
北朝鮮の興南肥料工場 ©Clay Gilliland

北朝鮮経済にロシアから好材料が舞い込んできた

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このところ国際的な原油価格が下落しているが、これが北朝鮮にとって思わぬ好材料となっている。

北朝鮮は、最近ロシアから借款の形で食糧と原油が供給されているが、これをチャンスとばかりに軽工業原料の生産に総力を挙げている。また、化学肥料の増産で今年の北朝鮮の農業の状況が改善するだろうと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

こうしたなか、好材料が充実しつつあるなか、北朝鮮当局も庶民達もいい雰囲気の中で生産活動に望んでいるという。

「中央からの『この機会を絶対に逃すな』という指示が幹部たちに伝えられた。ロシアからの原油を使って軽工業原料を最大限生産せよということだ」(RFAの消息筋)

消息筋「ロシアから50万トンの原油が支援される予定」

ロシアが支援した原油の正確な量は不明だが、既に南浦港に入っており、今年の支援量は50万トンだと内部情報筋は伝えた。それだけでなく、中国とつながるパイプラインからも原油が入ってきたという。また、ロシアは原油に加えて農業に必要な電力供給も行うと約束している。

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原油は、繊維、塩化ビニール、合成ゴム、肥料の原料、アスファルトなどの生産に使われる。両江道(リャンガンド)の別の内部情報筋は、ロシアの支援で物価が安定し経済が好転するだろうと喜びを隠せないとのことだ。

「今年1月まで原油1リットルが人民元で11元だったが、今では5元に急落した。ロシア産小麦も1キロ3.2元で売られている。ロシアの支援のお陰で物価が安定するようになった」

「ロシアからの原油、食糧、電力のおかげで今年の経済状況は驚くほど改善するだろう。軽工業原料の増産で今まで稼働が止まっていた工場も再開する見通しだ」(RFAの情報筋)

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北朝鮮とロシアの急速な接近によって、北朝鮮経済が好転するのは国際社会にとっても望ましいが、蜜月関係がいつまで持続するのかは未知数だ。今後の中露関係が、国際情勢にどのような影響を及ぼすのかに注目される。

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