中国琿春市の防川から見た北朝鮮の羅先市 ©Roman Harak
中国琿春市の防川から見た北朝鮮の羅先市 ©Roman Harak

2013年の核実験や張成沢の処刑をきっかけに中朝関係は悪化している。その一方で、金正恩氏が初の外遊先としてロシアを選ぶのではないかと囁かれるほど、北朝鮮はロシアに急接近している。

こうした「離中近露(中国から離れてロシアに接近)」に住民からも不安の声があがっていると米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

RFAの咸鏡北道(ハブギョンブクト)の情報筋はRFAに次のように語った。

朝露関係改善に沸く国境地帯

「今年5月から羅先(ラソン)にロシアから電気が供給されるらしい。またロシアからは小麦5万トンの支援も追加されると聞いている」

ロシアは、食糧だけではなく10億ドル相当の原料や資材を北朝鮮に借款していると内部情報筋は伝えた。ロシアと国境を接している羅先は朝露関係の改善に大きな期待をかけている。

羅先は北朝鮮で唯一ロシア国境に面した地域で、ロシアとの行き来は必ず羅先を経なければならないため、北朝鮮との合弁を望むロシア企業は羅先に投資するだろうと、内部情報筋は期待感をにじませた。

ロシアからの食糧輸入情報でコメ価格下落

咸鏡北道の別の内部情報筋はRFAに対して「北朝鮮の市場において食糧の価格が下落傾向にあるが、これはロシアから大量に食糧が入ってくるという情報をキャッチした商人たちが、値上がりを待って売り惜しみしていたコメを市場に大量に放出したからだ」と説明した。

内部情報筋はその根拠として、生活必需品の価格には変わりがないのに食糧の価格だけが下がっていることを挙げた。

羅先ではトウモロコシ1キロが2月初めには1800ウォン(約25円)だったのが、2月15日には1200ウォン(約17円)まで下がった。中国では1キロ人民元3.5元(約66円)で売られているコメが、北朝鮮の市場では3.2元(約61円)とかえって安値で売られる現象が起きている。

北朝鮮の人々の間で「中国人も北朝鮮の市場に来てコメを買ったほうがいいのでは?」との冗談が飛び交っていると内部情報筋は伝えた。

中朝関係が悪化すると北朝鮮の人々の命綱が絶たれる

一方で内部情報筋は中国との関係も疎かにできないと強調した。

「いくらロシアとの関係がよくなっても、これまでの中朝関係の代わりにはならない」

「今まで数十年間、北朝鮮の市場に生活必需品を供給してきたのは中朝貿易であり、中朝関係が悪化するとは親戚訪問、行商、密輸が途絶えて北朝鮮の人々の命綱が絶たれる」

?90年代中頃から続く中朝国境の交易は、すでに20年近くになろうとしている。仮に北朝鮮当局が、中朝を完全に閉鎖すれば国境地帯のみならず平壌の富裕層、しいては指導層にも深刻な打撃を与えることは間違いない。そのことを北朝鮮指導層はどれほど理解しているのだろうか。

中朝関係に関しては、どうやら北朝鮮の庶民の方が現実的な視点をもちあわせているようだ。