牛で畑を耕す北朝鮮の農民(本文とは関係ありません)
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「春の小雨に備えた止水工事を急げ」

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この気節、雪解けまでにはまだ時間があるが、北朝鮮ではすでに春の少雨に備えた工事が始まっている。現場では「一滴の水も無駄にしないようにしよう!」とのスローガンが見られる。

両江道(リャンガンド)の内部情報筋は米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対して次のように語った。

「党政治局会議で提示された課業を貫徹するための従業員総会が今日行われ、少雨対策工事についての議論が行われた。党政治局会議の課業以外でも最近中央から下される指示のほとんどが、少雨対策を急げという内容だ。止水工事がとくに強調されている」

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の別の内部情報筋はRFAに次のように語った。

「先週下された『宣伝扇動資料』には『今年は百年に一回の日照りの年』と書かれていた。そのため全国的に少雨対策工事で大忙しだ」

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少雨対策とは、春に雨がふらなくても水を貯蔵できる施設を作ったり、井戸を掘ったりする工事の総称だ。井戸から田畑に直接水が流れるようにしたり、パイプとポンプを設置して水を汲み上げられるようにしたりする。

前述の内部情報筋は次のように語った。

「土地が凍っているので井戸を掘るのは大変だが、春の雪解けまでに施設を完成させないと水が流れて行ってしまう。だから必死で工事を進めさせている」

北朝鮮の大部分は元々雨の少ない地域

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韓国気象庁の統計によると、平壌の年間平均降水量は911.3ミリ、穀倉地帯の黄海南道(ファンヘナムド)海州(ヘジュ)は1032.6ミリ、国境地帯の恵山(ヘサン)に至っては591.4ミリしかない。ソウルの1450.5ミリ、東京の1528.8ミリに比べるとかなり少ないことがわかる。

「ケッペンの気候区分」では、北朝鮮の大部分は亜寒帯冬季少雨気候に属する。温暖湿潤気候に属する日本の本州や九州、韓国南部や沿岸部と違って非常に冬季の降雪量、降水量が少ない。

先日、発表された新スローガンのうちの一つに「節水」を促すスローガンがあった。(関連記事

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「節水農法、科学的農法を大いに取り入れよ!」

北朝鮮当局も農業インフラの整備については、ある程度の問題意識を持っているようだ。また「分組管理制」や「圃田担当制」を導入するなど、生産性の向上にむけた一定の取り組みはしているが、基本的な灌漑施設を整備することが今後の大きな課題になるだろう。