平安南道(ピョンアンナムド)平城(ピョンソン)市を走る元阪急バスの車両 @Raymond Cunningam
平安南道(ピョンアンナムド)平城(ピョンソン)市を走る、かつて阪急バスで使用されていた車両 ©Raymond Cunningam

北朝鮮当局が、右ハンドルの車両を4月末までにすべて廃棄せよとの指示を出したという。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が16日に報じた。事実上、日本車を「狙い撃ち」したもので、企業所などで困惑が広がっているようだ。

北朝鮮では2006年に日本車の「廃棄令」が出され、その後、古い形式のものから着々と回収・廃棄が進められてきた経緯がある。

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平安北道(ピョンアンブクト)の内部情報筋は、RFAに対し次のように語っている。

「当局からの指示は『運転席が右側にある車両を廃棄せよ』というものだが、これは事実上、日本車を狙ったもので、期限は4月末となっている。元帥様(金正恩氏)が政権についてから日本車廃棄問題はしばらく取り沙汰されなくなっていた。廃棄は張成沢氏が独断で進めていたものだとして、責任を彼になすりつけてもいた」

外貨稼ぎ機関所有のトラックも多くが日本製

内部情報筋は続けて次のように語った。

「今まではわざわざ日本車を廃棄する必要がないと言っていたのに、今になって急にそんな指示をされて困惑している。既に日本製の乗用車、小型トラック、マイクロバスの廃棄はほぼ終わっているのでさほど問題にならないが、大型トラックは日本製がほとんどなので所有している機関や企業所では大騒ぎになっている」

中国の圏河税関で通関を待つ北朝鮮のトラック ©Roman Harak
中国の圏河税関で通関を待つ北朝鮮のトラック ©Roman Harak

「39号室(編集部注:朝鮮労働党直属の外貨稼ぎ機関)直営の大成貿易総会社は冷蔵トラックを最も多く所有しているがそのうち8割以上が日本車で、他の貿易会社も日本車保有の割合も似たようなものだ」

「日本車は事故の原因」非現実的な廃棄指示

また、丹東の貿易業者はRFAに日本車廃棄指示の背景について次のように説明している。

「右側に運転席がある日本車は、右側通行の北朝鮮の道路事情に合っておらず大きな交通事故の原因になっていると当局は見ているようだ。それ自体は間違ってはいないが、北朝鮮はそれらの車両を一度にすべて入れ替える財力のある国ではない」

「新義州と丹東と行き来する北朝鮮の大成貿易、強盛貿易、新義州聯合運輸のトラックは2?3年前から少しずつ中国製のものに置き換えられつつあるが、依然として半分以上は日本車だ。4月末まで全部廃棄しろなんて到底無茶な話だ」

北朝鮮では1980年中盤から2000年代序盤まで、日本製中古車を輸入し中国に販売する仲介貿易が盛んだった。コストパフォーマンスが良い日本車は北朝鮮でも人気で、国内にも大量に供給された。日本の対北経済制裁により貿易は途絶えたが、現在でも相当数の日本車が運行されている。

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