北朝鮮の市場では、保安員(警察)の取締を避けてあちこちで商売をする「バッタ市場」が見られるが、最近は「ダニ市場」と呼ばれ、さらに繁盛しているという。商人たちの反発で保安員の取締も緩くなり、ワイロを渡せば見逃してもらえるようになっているからだとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

北朝鮮のとある地方都市の「ダニ市場」
北朝鮮のとある地方都市の「ダニ市場」

取り締まりにもめげない『ダニ市場』の商人たち

平安北道(ピョンアンブクト)の内部情報筋は次のように伝えた。

「お金がなくて市場の売台を借りられない人々は、村の路地や市場の入り口で物を売っている。それを最近では『ダニ市場』を呼ぶようになった。取り締まられても取り締まられてもダニのようにしつこく商売を続けるからだ」

「ダニ市場に対する取締はあるが、彼らも『ここで商売できなければ生きていない!』と反発して取締にもめげず、商売する人が増えている」

「去年は、保安員に『どけ(出て行け)』と言われたら黙っていて商売をたたんでいたが、今では『配給くれたらこんな苦労を誰がするんだ』と反論して動かない」

「糊口をしのぐための商売を昔のように取り締まることはもはやできない」

中央の内部監査で保安員の取締緩和

内部情報筋によると、合法的な総合市場へ向かう道端には数百人の商人が商売をしていて「ダニ市場」となっている。

取締は保安員と巡察隊(保安署所属の労働者糾察隊)が行う。保安員は不法市場だとしてダニ市場の商人から商品を没収し、一部をワイロとして取り上げ、残りは返す方式を取っている。

「ダニ市場」の取締が緩くなっている背景には中央の監察があるかもしれないと内部情報筋は指摘する。

「保安員の横暴さが目に余るようになって、中央党からの保安員に対する検閲(監察)が行われている。そのせいで取締が緩くなったのかもしれない」

「少額のワイロや物をつかませれば黙らせられるので『ダニ市場』は増えつつある」

「地域によっては許可証代わりのチケットを渡す代わりにショバ代を徴収して、市場管理所の所長や管理員たちが山分けする」

「保安員に対する集中検閲が終われば統制がまた強くなるかもしれないが、商人たちはおとなしく従わなくなっているので『ダニ市場』を無くすことは非常に難しいだろう」(内部情報筋)

北朝鮮庶民が自力更生の精神で作り出した「草の根資本主義」の生命力には、北朝鮮当局でさえも敵わないようだ。

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