警察庁は4日、過激派組織「イスラム国」による日本人人質事件を受け、国内外での情報収集などテロ対策の強化を目指し「国際テロ対策推進本部」を立ち上げた。

現在のところ、日本や朝鮮半島にイスラム国が足場を築いた形跡はうかがえない。

しかし見方を逆にすれば、イスラム国が入り込めていないのは、アジアでも日本と韓国、北朝鮮など一部の国になりつつあるとの言い方もできなくはない。

中国では、中央アジアと東アジアの境目に位置する新疆ウイグル自治区で、共産党政権によって弾圧を受けたイスラム教徒のウイグル族の一部が過激化し、イスラム国に合流しているとの情報がある。

インドネシアや豪州でも

一方、日本や朝鮮半島により近い東南アジアや太平洋地域にもイスラム国の勢力は存在する。その実態について、日本の情報当局はどう見ているのか。公安調査庁が1月に発表した「内外情勢の回顧と展望」から、東南アジアとオーストラリアにおけるイスラム国の活動実態(2014年)に関する部分を以下に抜粋して掲載する。(※改行と小見出しを適宜加えた。)

インドネシアでは、「ジェマー・イスラミア」(JI)及びJIの元指導者アブ・バカル・バシール(収監中)が設立した公然組織「ジャマー・アンシャル・タウヒッド」(JAT)の影響を受けたとされる小規模グループが活動を継続しているところ、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)が「イスラム国」の「設立」を宣言した(6月)ことを受けて、元JATメンバーで「東インドネシアのムジャヒディン」(MIT)の指導者サントソが「イスラム国」への忠誠を誓った(6月)ほか、バシールも獄中で「イスラム国」への忠誠を誓うことを表明する(7月)など、ISILの影響が拡大している。

また、インドネシア人戦闘員が登場して「イスラム国」への参加を呼び掛けるISIL作成のビデオが公開される中(7月)、インドネシア政府は、「イスラム国」への支援活動を禁止すると発表するとともに、国民に対しシリア及びイラクでの戦闘に参加しないよう警告した(8月)。

マレーシアで外資系企業への攻撃計画

なお、同国国家警察は、シリアに渡航し、ISILに参加して戦闘を行っているインドネシア人は97人であり、うち10人は既に帰国したとしている(11月)。

マレーシアでは、テロ容疑者の摘発が相次ぎ、「イスラム国」に忠誠を誓ったとされる複数のマレーシア人が、首都クアラルンプール近郊の外資系企業の工場などに対する攻撃を計画していたことが明らかになった(8月)。

オーストラリアでは、ISILを支持しているとされる者15人がテロ関連容疑で摘発された(9月)。これらの者は、中東にいるオーストラリア国籍のISIL幹部から電話で指示を受け、シドニーなどで無差別に市民を誘拐し、斬首した上、その映像を公開することを計画していたとされる。

また、ISIL支持者とされる少年が、警察官2人をナイフで襲い、警察官に射殺される事件も発生した(9月)。なお、同国のビショップ外相は、シリアやイラクで過激組織とともに戦ったり、現在も戦っているオーストラリア人は150人前後に達した旨述べている(6月)。

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