北朝鮮における韓流について語る女性(撮影:デイリーNK特別取材チーム)
北朝鮮における韓流について語る女性(撮影:デイリーNK特別取材チーム)

韓流ドラマは当たり前、韓国のテレビを見る人も

デイリーNKは今月5日から8日間、中国の丹東と集安において中朝国境地域の取材と中国に私事旅行にやってきた北朝鮮の人12人にインタビューした。昨年12月の張成沢氏の処刑後の北朝鮮国内の動向を聞くと同時に、厳罰にもかかわらず拡散を続けている韓流ドラマや映画の実態を調べるためだ。取締を避けるためにUSBメモリによる流通が進んでいる。デイリーNKは7回に渡って中朝国境地域のルポと韓流関連の記事を連載する。

金正恩体制発足以降、北朝鮮は韓流の取締を強化しているが、若者や幹部の間での拡散を抑えるのは困難だと思われる。

今月初、デイリーNK特別取材チームは中国の丹東で北朝鮮からの旅行者にインタビューして韓流ドラマ、映画について聞いてみた。

平安北道(ピョンアンブクト)在住の50代の男性は次のように語る。

「電気が通じてしばらくすると取締班がやってくる。もし韓流ドラマを見ていたら大変なことになる」

「去年5月には韓流ドラマのソフトの配達と販売をしていた2人が銃殺された」

「2008年から2010年までは毎日のように夢中になって韓流ドラマを見ていた」

「特に若者は夜になると集まって中国の延辺で作られたVCDで韓流ドラマを見ていた」

新義州(シニジュ)在住の30代女性は次のように語る。

「周りに韓流ドラマや映画を見ていて捕まった人が何人もいる」

「華僑たちは時々見ているが、北朝鮮の一般の人達はとても見ることができない」

「それでも若者たちや取締を受けない幹部たちは密かに韓流ドラマを見ている」

金正日時代には取締が緩く多くの人が韓流ドラマを見ていた。金正恩氏が政権についてから体制を揺らがす不安要素として韓流の取締を強化している。

黄海南道(ファンヘナムド)の40代男性は次のように語る。

「韓流ドラマが出回るようになってから10年ほど経つ。朝鮮の人なら8〜9割は1度ぐらいは見たことがあるはず」

「韓国製のソフトを見た人は3?4割、韓国のテレビを定期的に見ている人は3〜5%ほどいる」

黄海道では韓国のテレビがよく映る

行商で黄海道、江原道(カンウォンド)にも行っている平安北道(ピョンアンブクト)在住の50代女性は語る。

「黄海南道(ファンヘナムド)の海州(ヘジュ、韓国の延坪島から約40キロ)では韓国のテレビが本当によく映る」

「(軍事境界線に接している)江原道の高城(コソン)郡に嫁に行った親戚の家に行って『韓国のテレビがよく映るから羨ましい』と言ったら『他所では絶対に言わないで』と言われた」

「黄海道、江原道、平壌など韓国に近い地域ではラジオはもちろん、アンテナをうまく調整すれば韓国のテレビが見られる」

平安北道の男性と黄海道の男性は韓流ドラマの「天国の階段」がとても印象的で、「花嫁はギャングスター」「男の香り」「銭の戦争」もよかったと語る。

キム・ヨナも有名人に

フィギュアスケートのキム・ヨナ選手も北朝鮮の人々の間では有名人だ。

40代の男性は語る。

「韓国のスポーツ選手についてはよく知らないが、キム・ヨナほど有名な人なら知っている。隠そうにも隠せないほどだから」

50代の男性は語る。

「2回も金メダルを取るほど上手だ。統一すればスポーツ強国になるだろうに」

平安北道の50代女性は語る。

「韓流ドラマや映画を見て韓国のイメージが変わった。小さな国があんなに豊かになったのに北朝鮮は何をしているのだろうとかんがえるようになった」

「中国では韓流ドラマを見るが、北朝鮮に帰ったら絶対に言わない。口を滑らしたら大変なことになる」

「北朝鮮政府も韓国は貧しいというプロパガンダはもうやらなくなった」

平安南道の50代女性チェ・ジンスク(仮名)さんは次のように語る。

「前は知らなかったけど韓流ドラマも見て韓国の実情がわかった」

「韓国を理解するには韓流ドラマを見るのがいいが、隣近所でも話さないようにしている」

平安北道の50代男性に「韓流ドラマや映画を見たら北朝鮮の人はどうなるか」と尋ねたところ「北朝鮮の人々は皆見てはいるが、あっという間に変化が起こるわけではない」と答えた。

脱北した家族からの送金も韓国のイメージを変える

韓流ドラマ以外でも、脱北して韓国に暮らす人々が北朝鮮に残した家族と携帯電話で通話したり送金したりすることが韓国に対する認識を変える一因となっている。

平安南道のチェさんは次のように語る。

「両江道(リャンガンド)や咸鏡道から脱北した人が多いので携帯電話を使う人も多い」

「韓国に行った家族から実情を聞いて、韓国から送ってもらった金で生活する人々が多い。韓国にいいイメージを持つのは当たり前のことだ」

【中朝国境取材レポート(7)】北朝鮮の若者の間に広がる「韓流USB」

    関連記事