北朝鮮の朝鮮中央通信と労働新聞は31日、金正恩第1書記が米国の空母に対する攻撃を想定し、海空軍の潜水艦や戦闘機を動員した訓練を現地指導したと報じたが、その実施エリアが、日本の対岸に当たる朝鮮半島の東側沿岸部であった可能性が指摘されている。
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朝鮮中央通信と労働新聞は訓練が行われた日時と場所を明かしていないが、複数の韓国メディアが、「(報道の)前日、元山(ウォンサン)で行われたものと推定される」と報じている。
江原道(カンウォンド)元山は北朝鮮の主要は港湾都市のひとつで、かつては貨客船「万景峰92」号によって、日本の新潟と準定期航路で結ばれていた。
正恩氏はこのところ、軍や民間部門の現地指導などで元山付近に足しげく通っている。朝鮮中央通信は訓練報道と同じ日付で、正恩氏が元山市に新しく出来た製靴工場を現地指導したと報じた。また昨年3月16日には、従来は平壌で行われてきた党中央軍事委員会拡大会議を、慣例を破り元山で開催している。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面米空母攻撃訓練が実際に元山付近で行われていた場合、その理由について、北朝鮮ウォッチャーのひとりは次のように指摘する。
「朝鮮半島の西側は、中国の『裏庭』でもある。情勢が緊張しても、米海軍の空母が展開するのは政治的に容易ではない。北朝鮮が、米第7艦隊基地(横須賀)などのある日本海側での戦闘を想定するのはある意味で当然。訓練を、日米同盟へのけん制と見てもおかしくはない」
北朝鮮は米国のオバマ政権に対する強硬姿勢を強めており、今後の成り行きが注目される。