2014年のソウル・クィア・パレードは保守キリスト教団体の妨害により大混乱に陥った。(画像:読者提供)
2014年のソウル・クィア・パレードは保守キリスト教団体の妨害により大混乱に陥った。(画像:読者提供)

90年代から盛り上がった韓国の同性愛者のムーブメント

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前号では比較的おおらかだった朝鮮の同性愛を見る視点が植民地時代に西洋の精神医学に影響された日本の性科学が書籍により朝鮮に広まったことで「変態性欲」化していく過程について考察した。

解放後の韓国の新聞紙上にも同性愛関連の記事は現れる。それらをまとめると「主に遠い外国で行われる変態性行為で悲劇に終わるよろしからぬもの」という論調だ。植民地時代のそれとさほど変わりはないが年に数回程度の掲載となった。現在の北朝鮮の人々同様に80年代以前の韓国の多くの人々は同性愛の概念すらわからない状態だったと言われている。

それが変わるきっかけとなったのがSBSで1992年12月に放映された「そこが知りたい」という時事番組で「ゲイ、性の2つの顔」という特集だ。これを皮切りに各メディアが同性愛について取り上げるようになった。

当時、韓国のテレビ局は日本のテレビが視聴できる釜山で様々な番組をチェックしてそれを元に番組を制作していたと言われている。90年前後に日本で起きていた「ゲイブーム」から影響されたということは想像に難くない。

爆発的な広がりを見せていたパソコン通信の場に同性愛コミュニティが作られ、実際に公の場で活動するグループも現れた。

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1995年3月には当時延世大学の大学院生で現在は秋渓(チュゲ)芸術大学教授のソ・ドンジン氏が韓国初の大学内同性愛者サークルの「カム・トゥゲザー」を結成して初めて公にカミングアウトした。しかし、それにより彼は社会的に様々な不利益を被る結果となってしまった。