デイリーNKは2014年5月5日から8日間、特別取材チームによる中朝国境現地取材を敢行した。取材では中国遼寧省丹東や集安などの国境地域を訪れ、最新国境事情の取材のみならず私事旅行で訪中していた北朝鮮住民のインタビューにも成功。そのレポートを7回に渡って掲載する。

中国の対北原油輸出は停止されているのか?

4月24日韓国の大韓貿易投資振興公社(KOTRA)の支社である北京貿易館は中国税関総署の統計をもとに、第1四半期(1〜3月)の対北朝鮮原油輸出を「ゼロ」と発表した。

背景には、昨年の張成沢処刑に対して中国側が反発して輸出しなかったという説やメンテナンスのために一時的に原油供給が中断された説もあった。

北朝鮮が原油輸入を全面的に中国に依存せざるをえない状況下で輸出ゼロはありうるのだろうか。

その実体を探るため5月10日、デイリーNK取材チームは中朝国境に位置する対北朝鮮向けパイプライン加圧設備を訪れ、同設備の警備関係者とのインタビューに成功した。

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デイリーNK特別取材チームが10日に訪れた中国丹東市パイプライン基地の入り口/写真:デイリーNK特別取材チーム

デイリーNK:「北朝鮮に原油を送っているのか?」

設備関係者:「継続的に原油を送っている。しかし、一ヶ月にどれだけ送るか、そして現在の残量がいくらなのかは言えない」

訪れた加圧設備は中国遼寧省丹東市地域鴨緑江沿いに位置する「中国石油管工事丹東基地」だ。中国国営企業の中国石油天然ガス公社(CNPC)の子会社である「中朝友誼輸油公司」が運営している。

この施設は、丹東市北郊外の樓房にある「八三油類貯蔵」から原油の供給を受け、鴨緑江河底の11kmの長さのパイプラインを通じて、北朝鮮の平安北道(ピョンアンブクト)枇峴郡(ピョヒョングン)白馬里(ペンマリ)の「烽火化学工場」に送られる。

対北朝鮮パイプライン丹東基地内の加圧施設
パイプライン基地内の加圧施設/写真:デイリーNK特別取材チーム

統計に現れない原油輸出

「輸出は停止されていない」という証言を裏付ける話は、中朝関係に詳しい現地の消息筋からも聞くことができた。

「中国は毎年、数万から数十万トンを鴨緑江の下に埋蔵されているパイプラインを通じて原油を送っている。確かに2009年に北朝鮮が核実験した時、一時的に中断したという話もあったが、今も中国は地下パイプラインを通じて原油を支援している」

消息筋によると、ここから送られる原油は北朝鮮に無償と長期低利借款形式で提供される「対北朝鮮援助」であり、中朝間の貿易統計には出ないとのことだ。

つまり、貿易統計上の原油輸出はゼロだが、援助としての原油供給は継続されているということになる。

北朝鮮向けパイプライン基地内の原油貯蔵庫に見えるタンク
パイプライン基地内の原油貯蔵庫に見えるタンク/写真:デイリーNK特別取材チーム

「中国はいつでも原油供給を中断できるが、長期的にストップしたことはない。中国政府は、北朝鮮体制の安定化を重要視するため、長期的な原油供給中断による体制不安を望まないからだ。統計上はゼロでもパイプラインを通じた原油は確実に供給している」(中朝関係に詳しい現地の消息筋)

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