北朝鮮当局が一部地域の市場で外貨使用を規制しはじめた。外貨での取引はすっかり影を潜めたが、商人や客達は不便さを感じている。

工作機械から豆腐一丁まで人民元で

両江道(リャンガンド)のデイリーNKの内部情報筋は次のように伝える。

「昨年末から急に外貨の取締が始まった。新年に入ってからは外貨を使う人はほとんどいなくなった」

「高価な工業用機械から豆腐にいたるまで人民元で取引していたというのに使えなくなった」

「外貨使用が発覚したら外貨で売っている商品も没収されるので、ほとんどの人が北朝鮮ウォンを使うようになった」

北朝鮮では外貨の使用は法律で禁じられている。しかし、市場での外貨の使用は当然のように行われてきた。きっかけになったのが2009年に行われて大混乱を引き起こしたデノミだ。

ウォンの単位が100分の1に切り下げられ新旧紙幣の交換が行われたが、1世帯あたり交換できるのは10万ウォンまで、それを超える場合は没収というとんでもない措置が行われた。

なけなしの財産を外貨に替えようとする人々で大混乱し、市場からは物を売る人がいなくなった。ハイパーインフレで物が買えなくなり餓死する人すらいたという。結局は政府が謝罪にまで追い込まれ、担当者は処刑された。

インフレは落ち着いたが、北朝鮮ウォンに対する人々の信頼度は回復していない。散々な目に遭わされた北朝鮮の人々は、外貨を持っている者は両替所でウォンに両替せよと当局が指示を出しても絶対に従おうとはしない。当局がいくら取り締まっても市場の力には勝てず取締はウヤムヤになるのが今までのパターンだった。

鞄いっぱいのウォン紙幣を持ち歩く不便さ

内部情報筋はさらに説明する。

「今回の取締は中央(北朝鮮政府)が人々が保有する外貨の回収を目的とした措置と思われるが、道の保安署が独自の基準で取締を行って外貨を巻き上げて幹部に渡す賄賂にするつもりだろう」

「取締がいつまで続くかわからないが、外貨を北朝鮮ウォンに両替する商人なんているわけがない」

「気心の知れた間柄では卸売でも小売でも人民元でやりとりするが、スパイに密告されるのが怖い」

「デノミの時に(北朝鮮政府に)騙された。二度とその手は食らわない。外貨は命の次に大切だ」

1月7日現在、1ドルは約8150ウォン、1元は1320ウォンで取引されている。人民元100元札をウォンに両替すると5000ウォン札26枚、1000ウォン札2枚が返ってくる。価値が低く高額紙幣が無いために商人たちは大量のウォン紙幣がつめこまれた鞄を持ち歩かざるをえない状況となっている。

一方、平安北道の別の内部情報筋は「外貨使用規制」のニュースは聞いたことがないと語り、次のように指摘した。

「外貨の使用はもはや選択ではなく必須」

「外貨を使えなくすると経済も市場も立ち行かなくなる。貿易にも大いに悪影響が出るだろう」

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