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その人々が自由を手に入れ、世界に向かって真実を語り始めるなどという事態は、それこそ北朝鮮の体制にとって「悪夢」であり「自殺」に等しい行為だ。金正恩体制がいくら米国との関係改善を待望しているとしても、それを実現するために「自殺」してしまっては話にならない。

それに比べれば、核やミサイルの交渉はよっぽどたやすい。

たとえば誰かが「核もミサイルも放棄しろ。そうすれば100兆ドル払うから」と約束したとしよう。それが信じるに足ると金正恩氏が判断すれば、そこで交渉はまとまるはずだ。それだけのカネがあれば、指導者の資質がどうあれ豊かな国作りができるし、核兵器抜きで強力な軍事力を備えられるのだから。

もっとも100兆ドルでは、世界のGDPの合計を上回ってしまう。そんなカネは誰も払えない。では、1兆ドル(約120兆円)ではどうか? やはり、北朝鮮にみすみすくれてやる物好きはいないだろう。大きく下げて10億ドル(1200億円)なら、「払ってやってもいい」という国はありそうだ。しかしその額では、北朝鮮が要求を飲むまい。では100億ドルなら? もしくは20年分割で1000億ドルなら……。