筆者は4月の時点で「今後は頻繁に北朝鮮の公式メディアに登場するだろう」と予想していたが、まさにその通りになりつつある。生前の正日氏を妹の金慶喜氏が支えたように、妹の与正氏が金正恩氏を支えていくのだろう。そこまでして血族にこだわるのは、金正恩氏が最高指導者にふさわしい正当性に欠けるからだ。
金日成氏から三代続く世襲政治は、もはや社会主義体制というより封建体制、王朝体制であり、今の北朝鮮体制が拠り所とするのは日成氏を始祖とする「白頭の血統」しかない。金正恩体制が目指す先にあるのは「李氏朝鮮」ならぬ「金氏朝鮮」か。
しかし「白頭の血統」を強調すればするほど、そこに隠された最大のアキレス健も浮かび上がってくる。正恩氏も与正氏も元在日朝鮮人帰国者の高ヨンヒ(高英姫)が実母だからである。