開城工業団地で働く北朝鮮の労働者の間で一番人気のおやつといえば「チョコパイ」。最近は「インスタントラーメン」も人気を集めている。チョコパイやインスタントラーメンをかけてバレーボールの「賭け試合」をしたりしている。

北朝鮮の労働者は昼休みを利用し、卓球やバレーボールなどのスポーツを楽しむ。ところが最近では賞品を賭けスポーツする光景がよく見られ、実際にインスタントラーメンやチョコパイなどを賭け試合を行っているという。

黄海南道(ファンヘナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、最近、工業団地では韓国企業から提供されるインスタントラーメンとチョコパイを賭けてバレーボールの試合をする。試合で勝った組は喜び、負けた組は「次こそは!」と闘志を燃やしたりするらしい。

「おやつ抜き」の厳罰

それにしても、なぜそこまで盛り上がるのだろうか。

朝鮮半島では昔から春の端境期(春窮期)には食料が不足する。韓国では過去の遺物だが、食糧事情の劣悪な北朝鮮では端境期をどう乗り越えるかはとても重要だ。それで多くの従業員は提供されるおやつを家に持ち帰るのだという。北朝鮮の市場で売られている韓国製の「牛肉ラーメン」(画像提供:オットゥギ食品)

端境期とは関係なく供給され、美味しくて手軽に食べられるインスタントラーメンとチョコパイが市場でも人気を集めている。

工業団地の企業の幹部の中には、工場からおやつをくすねる人もいるらしい。また、幹部たちは一般労働者が何かミスを犯すと罰としておやつ抜きを宣言して、余ったおやつを懐に入れたりするようだ。

北朝鮮の労働者は韓国企業から受け取るおやつは、1日にインスタントラーメン1袋とチョコパイ3~4個。1日分だけでは量が足りないので、複数の人間が何日分かを集めて、くじ引きして当たった人が総取りする「頼母子講」のようなこともやっている。当たったらラーメンが5~7袋、チョコパイが15~20個ももらえるので人気がある。

ラーメンを売ってコメを買う

そうやって手に入れたラーメンとチョコパイを市場で売って現金化し、そのお金でコメや食材を買う。普段からおやつとして気軽に食べられるものではない。

現在、開城など黄海南道(ファンヘナムド)の市場では、「牛肉ラーメン」と「キムチラーメン」はそれぞれ1袋3500ウォン、3000ウォンで販売されている。現在、米1キロ4100ウォン程度であるため、ラーメンを売って米を買うのが得だ。

開城工業団地で一日に配られるチョコパイの数は4?5万個にも達するという。その多くから開城の市場を通じて全国の市場に運ばれていく。開城の市場はさながらチョコパイ流通団地だ。

しかし、ラーメンもチョコパイも決して安いものではない。普段から心置きなく食べられるのは幹部やトンジュ(金主)ぐらいで、一般庶民にとってはお客さんが来た時やお祝いをする時にしか手が出せない「ごちそう」なのだ。

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