米空軍が主力近接航空支援機A-10Cの空中給油能力を拡張し、海軍・海兵隊方式への対応を進めていることが分かった。従来は空軍式の「フライングブーム方式」のみだったが、新たに「プローブ・アンド・ドローグ方式」にも対応可能とする改修で、統合運用の柔軟性を高める狙いがある。
関係者によると、改修は機体構造を大幅に変更するものではなく、機首の給油口に専用のプローブ型アダプターを装着する方式。数時間で着脱可能で、任務に応じてブーム方式とドローグ方式を切り替えられる。これにより、従来は主にKC-135など空軍給油機に依存していたA-10が、KC-130といった海兵隊系の給油機からも補給を受けられるようになる。背景には、空軍の給油体制の逼迫がある。KC-10の退役に加え、後継機KC-46の運用制約などにより、ブーム方式に依存した従来の体制には限界が指摘されていた。特にA-10は低速・低高度での運用を前提とするため、高速で巡航する大型給油機との相性が必ずしも良くなかった。
こうした中、米軍が進める分散運用構想(ACE=Agile Combat Employment)も改修を後押しした。前線近くの簡易拠点から出撃し、C-130系の給油機で機動的に燃料補給を行う運用が可能となれば、作戦の継続性は大きく向上する。
さらに近年、中東情勢やウクライナ戦争で顕在化した「ドローン主体の戦場」も、A-10の再評価につながっている。
(参考記事:【写真】「時代遅れの老兵」中東で咆哮 米A-10攻撃機、退役論を覆す実力)
小型無人機は低空を飛行し、長時間にわたり出現するため、従来型戦闘機だけでは対処が難しい場面も多い。低速で長時間滞空できるA-10は、こうした脅威への持続的な対処に適しているとされ、イラン戦争などで前方展開する海軍の給油機と連携できれば、その有用性は拡大する。
ただし、今回の改修はあくまで給油方式の互換性を拡張するものであり、艦載機化などを意味する「海軍仕様」への全面的な転換ではない。とはいえ、空軍機が海軍・海兵隊のインフラを活用できるようになる意義は大きく、統合作戦能力の底上げにつながるとみられる。
退役論がくすぶり続けてきたA-10だが、戦場環境の変化に適応する形で延命の道を模索している。対ドローン戦という新たな任務領域が、その存在意義を改めて問い直している。
