国家からの財政的な支援はおろか配給すら滞っているのが実情であるため、農場で生産される一部の米を別途確保しておかないと営農準備は不可能である。その米を売ったり交換することで、営農に必要な資材等を準備する。
営農準備が整うと田植えが本格的に始まる。通常5月中旬頃である。北朝鮮の労働新聞は17日、「愛国忠誠と5月のある一日」という記事で、平安南道江西郡の青山協同農場で12日、「意味深い今年初の田植えが始まった」と報道。一般的に農場員は個人別に課題が与えられ、明け方4時から田に出て作業をしなければならない。一部の地域では前日夜遅くまで作業をしていた農民が朝起きられないとし、明け方に鉦を叩きながら村を巡回することもある。
田植えは多くの人手を必要とするため、住民以外に軍人、大学・中学校・小学校の生徒まで動員される。一年の農業を決定する非常に重要な国家的課業とされ、当局は田植えシーズンになると各種宣伝媒体を通して農村動員にまい進するよう奨励する。労働新聞をはじめ朝鮮中央通信などは住民の農村支援のニュースを連日報道する。