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北朝鮮国営の高麗航空が運航する国際線はわずか3路線に過ぎない。そのひとつ、平壌とロシア・ウラジオストクを結ぶ便で、北朝鮮の外交官や貿易関係者が持ち込む“異様な荷物”が現地の関心を集めていると、デイリーNKの内部情報筋が伝えた。

北朝鮮の外交官と言えば、国家に上納する外貨稼ぎのため、あるいは金王朝に「ぜいたく品」を献上するため、様々な品を密輸してきたことで悪名高い。また、そうした商売の過程で個人的に蓄財し、周囲から羨まれる存在でもあった。

しかし、最近の事情はやや異なるようだ。今や彼らの荷物の中身は、北朝鮮経済の困窮や外交官の生活苦を象徴しているという。

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先月20日、平壌の順安国際空港で、ウラジオストク行きの便に搭乗予定だった外交官やその家族が税関検査を受けた。検査官たちを驚かせたのは、スーツケースの中身だった。北朝鮮製の菓子や日用品がびっしり詰まっていたのだ。

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持ち込まれていたのは、硬くて味気ない小麦粉クラッカー、包装もない素朴な飴、ピーナッツ菓子、平壌の国営工場製の菓子パンや焼き菓子、そして北朝鮮製の歯ブラシ、歯磨き粉、下着など。「生活必需品」とも言えるが、その質は低い。税関職員たちは一様に首をかしげた。「こんなものをなぜ? ロシアならもっと良いものが安く手に入るのに」と。

(参考記事:モヤシを売って生活費を稼ぐ…北朝鮮外交官たちの苦境

ある外交官は笑顔で「外国のものも美味しいが、祖国の味に慣れている。お菓子なんてどこも似たようなものだ」と語ったが、それは表向きの説明だった。

別の外交官は、顔見知りの税関職員に「こういうものを持っていくのは、カネを稼ぐのと同じ意味がある。高価な外国製の菓子を買う余裕などないのだから」と明かした。北朝鮮の外交官に支給される給与では、現地での生活費を賄うことさえ難しい。そのため、祖国から安価な食品や日用品を最大限、持ち込んでこそ生きていけるというワケだ。

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「外国に行ってもドルを湯水のようには使えない。私たちも人民と同じように耐え忍び、節約してわずかなドルを残して帰国するしかない。外交官といえども生き残るための闘いだ」

(参考記事:ロシアで「おかず商売」に励む北朝鮮の外交官夫人たち

この話は税関職員から住民にも広まり、驚きと困惑をもって受け止められた。住民の間では、「これがわが国の外交官の実態なのか」と驚く声とともに、「北朝鮮は貧しい国だと実感した」との声も聞かれた。

国家がロシア派兵と武器提供で稼いだカネを、核・ミサイル開発に注ぎ込む一方で、外交官たちの窮乏はいっそう深まっているようだ。