今年7月に朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の総参謀長を解任された李英鎬(リ・ヨンホ)氏が粛清の過程で負傷し、入院後に咸鏡北道(ハムギョンブクト)の療養所に移されたことがわかった。

北朝鮮情報筋によると「李英鎬氏は、咸鏡北道鏡城(キョンソン)郡の朱乙(チュウル)にあるチャンリョン療養所で療養中との情報を政府当局が入手し、複数のルートを通じて確認中。李英鎬氏を粛清する過程で彼の副官が反抗し、銃撃戦が発生した。そのときに負傷し病院で治療を受けていた。李英鎬氏は軽傷だったとされる。彼の軍掌握力や権力から判断して、彼に忠誠を尽くす人物が反抗した可能性は十分ある」と話した。

7月、政府当局も李英鎬氏が解任される過程で銃撃戦などの衝突があったとの情報を入手したと伝えられた。当時、政府当局は李英鎬氏の解任が決定された後、崔龍海(チェ・リョンヘ)総政治局長が李英鎬氏の身柄を確保せよと命じるや、李英鎬氏の護衛兵力が反発。その過程で銃撃戦が発生し、李英鎬氏が負傷した可能性もあると把握されていた。

一方、李英鎬氏は軍内の派閥形成や夫人の麻薬取引きに加担するなど、「反党・反革命分子」的な行動により粛清されたと、日本の毎日新聞が同日報道した。

同紙は中朝貿易関係者の話を引用する形で「北朝鮮労働党は軍総参謀長の座から解任した李英鎬を10月中旬、『反党・反革命分子』と決定した事実を中堅幹部らに告知。その後一般住民にも李英鎬が軍内の派閥を形成する『軍閥主義』に陥り、夫人が麻薬取引きを行うなどの理由で解任されたと説明した」と報道した。

北朝鮮に詳しい中国の情報筋も「最近、北朝鮮の兵士から『李英鎬氏の思想が悪いため粛正された』と聞いた。特に『金正恩体制となってから、軍内部で忠誠心競争だけでなく派閥争いも多発している』と話していた」と伝え、「北朝鮮の軍部内で李英鎬派と反対派との対立が深まっている。また金正恩氏による軍部掌握のための粛正作業が日常化しており、今後もその状態が続くと思われる」と強調した。

李英鎬氏は2010年9月、第3回党代表者会で金正恩とともに党中央軍事委員会副委員長に任命された。その前日には大将から次帥に電撃昇格するなど、金正恩時代の最高軍部権力者と評価されていた。しかし7月に召集された労働党政治局会議では、「病気」を理由に突如解任された。

一部では忠誠心を高めるために李英鎬が粛正されたとの推測も出ている。金正日時代、張成沢(チャン・ソンテク)氏、金永春(キム・ヨンチュン)氏、李勇武(リ・ヨンム)氏、呉克烈(オ・グンヨル)などのエリート権力者がそうであった。一度粛正され再び復権した後は、金正日氏に忠誠を誓った。李英鎬氏も同じように再度登用される可能性は否定できない。

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