朝鮮人民軍(北朝鮮軍)当局は、徴兵検査の身長の合格基準を142センチまで下げた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、3月までの合格基準が145センチだったが、対象者の身長があまりにも低かったため、3月末からは142センチでも合格させるようになった。

市や郡の軍事動員部は、年齢が若いから入隊後に身長が伸びるだろうと2センチ低くしたと説明している。しかし、合格基準を緩和しても各地域に割り当てられた人数を満たせず、軍事動員部は頭を抱えている。

咸鏡北道会寧(フェリョン)市のある中学校では、朝鮮戦争当時の越南者(朝鮮戦争の時に韓国に行った人)の家族や、出身成分(身分)の悪い人、家族が脱北した人を除き、全ての卒業生を入隊対象者として認めることもある。大学進学が決まった人は徴兵から免除される。そのため該当地域の住民らが「徴兵検査をする意味がわからない」と怒る人もいる。

朝鮮人民軍が入隊基準を142センチに下げた背景には、今年の徴兵対象が1995年生まれである点と関係が深い。韓国・疾病管理本部の2007年の統計によると、北朝鮮の徴兵対象にあたる韓国の青少年(満16.7歳)の平均身長は169.69センチである。

1995年生まれは苦難の行軍1世代であり、生まれてからずっとまともな食事ができず、発育状態がよくない。加えて1995年から出生率が激減したことも原因のひとつで、栄養状態はさておき、徴兵する人数自体が足りないため入隊基準を下げるしかないようだ。

1995年はいわゆる「苦難の行軍」と呼ばれる大飢饉が起こった年である。1995年から1999年の間に生まれた世代のことを「失われた世代」と呼ぶ。「肉体、知識、道徳を失ってしまった」という意味である。

彼らは「国家システム」が完全に崩壊した直後に生まれ、乳幼児の時期には「栄養及び医療の空白」を、10代の時期には「教育と価値観の空白」を経験した。片や成長過程においては全身で「市場化現象」を体験し、前世代に比べ個人主義と利己主義が強く遵法精神に対する認識も欠けるという指摘がある。

人々の間では、兵役に合格した青年たちを見て「朝鮮の遺伝子はなぜ小さくなっているのか」「お遊戯をする子供みたいだ」と同情する声が上がっている。

入隊すればそのうち2〜3センチは伸びるから、基準を多少下げても関係ないとする軍事動員部幹部の説明に、「背が伸びるわけがない、栄養失調にならないだけマシ」と揶揄する声も上がっている。

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