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北朝鮮の首都・平壌の北東郊外にある平城(ピョンソン)は、東海岸の清津(チョンジン)と並ぶ、北朝鮮の2大流通拠点だ。

市場経済化を嫌った故金正日総書記は、平城の農民市場を取り締まったが、市場はしぶとく生き残り、多くの市民が北朝鮮国内としては豊かな生活を送っていた。それが一変したのはコロナ禍においてのことだ。

国境が封鎖され輸入品が入ってこなくなり、移動統制が厳しくなって国内からの商品の入荷も減ってしまった。さらに金正恩総書記は、市場の機能の縮小を企んでおり、以前に比べると活気が失われてしまった。

(参考記事:本腰を入れて市場を潰しにかかる北朝鮮の「計画経済回帰策」

現在、街には、10代の少年と高齢な零細商人の年寄ばかりが目に付くという。そして貧しい者同士が奪い合いを演じている。

現地のデイリーNK内部情報筋によると、少年たちは学校に行くふりをして家を出て街を徘徊し、盗みを働く。メインターゲットは道端で物を売っている老人たちだ。抵抗されることも追いかけられることも少ないからだ。

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先月下旬、市内のある小学校のクラスメート5人が、道端でタバコや食べ物を売っていた60代の老人を押し倒して、商品を盗む事件が発生した。

また、駅前洞(ヨクチョンドン)では、別の10代の少年たちが、キャンディ、おこし、タバコを売っていた60代の老人に客を装って接近し、露店をひっくり返して、周囲に散らばった商品を拾い集めて、あっという間に逃げるという事件が起きた。

少年たちは、小遣い欲しさに盗みを働いているわけではない。情報筋は次のように説明した。

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「少年たちは、盗んだ物の中からカネになりそうなものを選び、親に渡している」

生活苦に喘ぐ両親を少しでも助けたいという気持ちから、盗みに走っているというのだ。

「子どもが生活苦で泥棒をしているのを見た親はどれほど胸を痛めるだろうか。どれほど罪悪感にとらわれるだろうか。学校に行っても授業はろくに行われず、毎日、経済的課題(金品の供出)ばかり求められるので、徐々に登校しなくなる。家が貧しく飢えに苦しんでいるが、まだ子どもなのでツケで物を買うこともできず、盗んでしまう」(情報筋)

(参考記事:将軍様のせいで不登校の児童が続出する北朝鮮の小学校

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平城のある市民は、息子がタバコ2箱を差し出し「これを売ってコメを買えばいい」と言ったと明かした。問いただしたところ、息子は盗んだものであることを認めた。本来なら「盗みなどしてはしてはいけない」と叱りつけるべきところだが、涙が溢れて言葉が出なかったという。

北朝鮮で窃盗を行う子どもといえば「コチェビ(ストリート・チルドレン)」のことだったが、今では親もいて家もある子どもまでもが盗みを働く。そんな状況を情報筋は嘆いている。

(参考記事:美女2人は「ある物」を盗み公開処刑でズタズタにされた

「幼い子どもたちが生活の足しになるようにと盗みを働くほど生活が苦しい今の世の中に、住民たちは深い溜め息をつくばかりだ。一日も早く食糧問題の対策を立てなければならない」

経済活動が比較的自由だった2010年代、北朝鮮の人々は豊かさを求めて懸命に働いた。ところが、市場の力が強くなることを恐れたのか、当局はコロナ禍をきっかけに市場抑制策を取るようになった。だが、国の食糧供給システムはうまく働いておらず、人々の暮らしは苦しくなる一方だ。このままでは、人々が不満を爆発させる日も遠くはないかもしれない。