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北朝鮮の朝鮮労働党は10日、78回目の創建記念日を迎えた。この日には様々な記念行事が行われるが、最も重要なのが、故金日成主席と故金正日総書記の銅像に花束や花輪を備える儀式だ。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)咸興(ハムン)市の教育部は今月5日、市内の各学校に花輪贈呈事業に関する指示を下した。各学校は各クラスにその調達費用を割り振ったが、これが問題を引き起こしている。現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

例年、各学校は児童、生徒に一定額の現金を配るよう指示を下すのだが、今年はそれがうまく行っていなかった。それもそのはず。

「先月の咸興市内の小学校の出席率が6割を切った」(情報筋)

北朝鮮の学校は、当局にとって都合のいい金品収集マシーンとなっている。古紙やくず鉄などのリサイクル可能な品、動物の革、木の実、現金など、様々なものの供出を子どもたちに課す。供出できないと子どもの扱いが悪くなるのでは、と恐れる親たちは、なんとかがんばって物品をかき集めて、子どもに持たせる。

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しかし、昨今の経済的苦境で課題が達成できなかった子どもたちが続出し、教師から叱られるのを恐れて、親がいくら説得しても学校に行こうとしないのだという。

(参考記事:北朝鮮学校の「子ども搾取」経済難でいっそう激しく

事態の報告を受けた咸興市教育部だが、これといった対策は立てず、ただ各校の校長に「出席率を上げろ」と指示を下すだけだった。ほぼ同時に下されたのが、花輪代の徴収だ。これでは子どもたちが学校に来るわけがない。

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さらなる出席率低下を恐れた教師たちだが、市内の成南(ソンナム)小学校の場合、朝鮮少年団(ピオネール)の分団委員長など、クラスの熱誠者(模範生)6〜7人に1人あたり1万北朝鮮ウォン(約170円)を出すように指示をした。南門(ナムムン)小学校の一部クラスでも、熱誠者を中心とした一部の児童にだけ現金を出させた。

「熱誠者の児童は、学校から出される経済的課題をうまくこなし、比較的暮らし向きのいい家の子どもたちで、担任教師は、税金外の負担をさせても大きな問題にならない彼らからだけ現金を徴収し、花輪の費用を調達した」(情報筋)

市場や貿易の抑制策で、市場からの収入で生計を立ててきた庶民は、収入の減少で貧困に喘いでおり、「貧者のコメ」であるトウモロコシすらまともに口にできない人も多い。一方で、幹部は安定した暮らしをしている。コロナ禍を生き抜いたトンジュ(金主、ニューリッチ)も同様だ。彼らにとって1万北朝鮮ウォンなど大した金額ではないのだ。

(参考記事:北朝鮮の核実験場近くで起きた「トウモロコシ殺人」の悲劇

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教育の場である学校が、金品を集める場と成り果て、そのせいで不登校になる児童・生徒が続出している現実を情報筋は嘆いているが、同時に教師の苦悩も代弁した。

「担任教師も配給や生活費の1ウォンも受け取れていないのに、学校から下された課題を達成できなければ批判の対象となる。(金品を出せなかった子どもを批判するにも)仕方がない。それで最近は、教師を目指す若者も減りつつある」(情報筋)

北朝鮮の学校は子どもたちに知識と夢を与える場ではなく、厳しい社会の現実を見せつける場なのだ。

(参考記事:北朝鮮の女子大生が泣き叫ぶ「見せしめの刑」の加重処罰