北朝鮮国営の朝鮮中央テレビでは最近、「携帯電話使用に際して知っておくべき点」という番組シリーズを放送している。
その内容は「アンテナが1本しか立っていないときは通話をしない方がいい」「ディスプレイの明るさは適切に調節してバッテリー消耗を防ぐ」「子どもに携帯電話を長く使わせない方がいい」――などの一般的なものから、「電磁波の影響を防ぐために、あまり耳に近寄せすぎないようにしよう」といったものまで様々だ。
(参考記事:飢えに苦しむ人がいる一方でスマートウォッチが大流行する北朝鮮)
画面には、最新型のスマートフォンの三台星(サムテソン)9と、日本でもすっかりおなじみとなったワイヤレスイヤホンも登場する。日本で「うどん型」「スティック型」と呼ばれているもので、Apple社のAirpods Proよりも、Anker社のSoundcore Life P3に似ている。
北朝鮮には以前から細長い形状をしたブルートゥースのハンズフリーイヤホンは存在したが、このような形のイヤホンが登場したのは初めてのようだ。なお、ノイズキャンセリングなど、詳細な機能は不明だ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面米ジョージ・ワシントン大学のキム・ヨノ教授は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)のインタビューに、「このような製品に対する需要が北朝鮮にもあることを示している」とし、コロナ明けに伴って新製品が発売されたものと見ている。
北朝鮮では、国産を謳いつつも、実は外国から輸入して、国内メーカーのロゴを貼った「産地偽装」の製品が数多く存在した。かつては日本製のテレビを国産品にしていたが、今では中国から取り寄せたものが主流になっているものと思われる。
(参考記事:金正恩の自慢の工場で「産地偽装」が行われる切実な理由)北朝鮮の人々にとって、ワイヤレスイヤホンは韓流ドラマに登場する憧れの品だ。新しい物好きで、無理をして最新型のスマートフォンを手に入れようとする北朝鮮の人々のことだ。依然として食糧不足は解消していないが、流行りの最新アイテムを手に入れようとしている人は少なくないだろう。