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北朝鮮の金正恩総書記は7日、名前が「ジュエ」とされる娘とともに、黄海北道(ファンヘブクト)黄州(ファンジュ)郡の光川(クァンチョン)養鶏工場を現地指導した。

金正恩氏は、この養鶏場について「わが党の構想通りに国の家禽業の発展において新たな基準点、モデルとして立派に建設された」などと激賛している。

(参考記事:「より多くの肉と卵を人民に」金正恩氏、養鶏場を現地指導

だが、この報道を見た専門家からは「鶏の栄養状態があまりよくない」との指摘が出ている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

国営の朝鮮中央テレビが現地指導の様子を報じた映像には、鶏が逆さ吊りにされてコンベアで運ばれる様子が写っている。

これを見た北朝鮮農業分野の専門家であるグッドファーマーズ研究所のチョ・チュンヒ所長は、次のように述べている。

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「まず、鶏の栄養状態がよくない。また、鶏が卵をどれだけ産むかは鶏冠を見て判断するが、少し傾いていなければならない。ところが、シュッと立っている。このような鶏は卵を多く産まない」

衛生状態も不安だ。金正恩氏に同行した娘や他の幹部たちは、防護服を着用せず、外から着てきた服の上に白衣を着ているだけだ。

養鶏場の視察を行う際には鳥インフルエンザの感染を防ぐため、防護服に着替え、長靴とカバーを着用し、消毒槽で消毒するのが一般的だ。また、鶏が直接見られる状態での視察は推奨されていない。プロパガンダ用とは言え、金正恩氏一行が何も対策を行っていないのは、知識不足による可能性がある。

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鳥インフルエンザへの感染が確認された鶏は殺処分されることになっているが、北朝鮮では食糧不足が解消していないため、処分されずに市場に横流しされ、そこから各地の養鶏場に広まる可能性も考えられる。

(参考記事:金正日のダチョウ牧場で鳥インフルエンザ発生

養鶏場の視察を宣伝することで、民政重視の姿勢を示そうとの目的があると思われるが、チョ所長は狙い通りにならない可能性について言及している。

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「昔は配給が行われていたが、今はそうでない。国にその能力がないからだ。卵の価格を安く定め、消費者に行きわたるようにしなければならないが、そうするには大量生産で卵の価格を下げることと同時に、国民の所得が増えなければならない。2つを同時に行ってこそ、真に『人民のため』の施策と言えようが、いずれも足りていないのではないか」

ちなみに卵1個の価格は1000北朝鮮ウォン(約17円)から1500北朝鮮ウォン(約25円)で、同じ価格でトウモロコシが1キロ近く買えることを考えると、決して安いとは言えない。