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最近の北朝鮮では、コロナは落ち着いたものの、インフルエンザが流行期に入っている。しかし、深刻な医薬品不足は解消しておらず、多くの人が為すすべもなく苦しんでいる。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)延社(ヨンサ)の情報筋は、風邪の患者が増えているのに、解熱鎮痛剤の入手が難しいと現地の窮状を訴えた。

今回の風邪の症状の特徴としては、40度に達する高熱、頭痛、鼻水、そして激しい喉の痛みだ。インフルエンザと思われるが、正確にはわからない。治療薬はもちろんのこと、対処療法に使うアスピリンやアセトアミノフェンですら手に入らない。結局、塩水でうがいをして耐えるしかないという。

新型コロナウイルスが蔓延していた当時、不足する医薬品を補うために、当局は国営メディアを通じて「塩水でうがいせよ」「柳の葉を煎じて飲め」などといった根拠不明の民間療法での対処を推奨していた。中には、アヘンや覚せい剤を代用品として使用する人さえ現れる始末だった。

(参考記事:北朝鮮式インフルエンザ予防は「キツすぎる鼻うがい」

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コロナ前には北朝鮮の国内製、外国製の風邪薬が多数流通しており、偽物の多い国産品より、中国製やインド製のものが好まれていたが、貿易が再開された今でも、輸入の医薬品はほとんど見かけないというのが、情報筋の伝える現地の情報だ。

流通の一大拠点である清津(チョンジン)まで行けば手に入るが、風邪薬のためだけに80キロも移動するわけには行かず、「非常に腹立たしい」(情報筋)状況だ。

高山地帯にある延社は、1月の平均気温が氷点下15度まで下がる極寒の地だ。医薬品不足に加え、薪まで不足しているため、家の中でも寒さに震えて過ごすしかなく、風邪を何度もひく人が多い。

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延社よりかなり温暖な慶源(キョンウォン)でも、風邪が流行していると現地の情報筋は伝えている。

温度は高くとも、豆満江から吹く風が強いせいか、冬になると大人も子どもも風邪をひく。普段なら薬なしで乗り越えられるが、今年の風邪は薬なしでは耐えられないほど苦しいという。

コロナ前には、中国製の「正痛片」(アセトアミノフェン、アスピリン、カフェインの混合薬)が簡単に手に入ったが、今ではそれすらも入手が困難になってしまった。

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地域住民は「国境さえ開けば再び正痛片が入ってくるはず」と、貿易再開に期待をかけているが、まだコロナ前ほど貿易が回復するに至っていない。税関業務を停止したままの当局に対して、住民は不満を募らせている。

北朝鮮には数多くの製薬工場が存在するが、医薬品の多くは輸入に頼っている。また、国内製だとしても原材料が中国製であるケースが多く、未だに品薄状態が続いている。それもイブプロフェン、アセトアミノフェンなどの、開発途上国で何の問題もなく入手できる類の消炎鎮痛剤ですら入手な困難な状況だ。かくして、救える命が失われつつあるのだ。

(参考記事:塩水にアヘンを混ぜて注射…医薬品不足の北朝鮮で「死の民間療法」