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国営商店の運営権を商人に与えて、利益の一部を賃料として徴収する手法は、以前から北朝鮮各地で広く行われていた。

一時、運営権を剥奪する「再国営化」が行われたが、全く上手く行かず、元の方式に戻っていた。賃料は決して安くないものの、商売は順調のようだ。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:国家がどう頑張っても押し戻せない北朝鮮の「市場経済化」

清津(チョンジン)市内の国営商店は、1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」のころから、店舗の運営権を個人に貸し出し、利益の一部を賃料として受け取る方式で運営されてきた。

コロナ前までは、中国から密輸で取り寄せた商品の小売と卸売で、かなり儲けていた。しかし、コロナ禍で国境が閉鎖され、密輸ができなくなったことで、このビジネスモデルが破綻してしまった。

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だが、貿易が再開され、国内の移動制限が緩和されたことで中国製品や国産品の入荷が増え、息を吹き返した。

商人が国営商店から要求される賃料の額は、扱う品目によって異なるが、ある店舗を例に挙げると、少なくとも1カ月に65万北朝鮮ウォン(約1万1050円)になる。少し前までは儲けがなく赤字だったが、今年下半期に入ってからは1カ月に130万北朝鮮ウォン(約2万2210円)の売上となった。そこから賃料や経済的課題(金品の供出)を引いても、1ヶ月に少なくとも30万北朝鮮ウォン(約5100円)の利益となる。

コロナ前とは比べ物にならないほど少額で、生活費として充分な額ではないではないものの、3年以上続いた赤字から脱したことで、店は活気を取り戻しつつある。

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市場で最も弱い立場にある、リヤカーで荷物を運んで手間賃を稼いで生計を立てている「クルマクン」は、1日1000北朝鮮ウォン(約17円)の儲けもなく、餓死寸前まで追い込まれていたが、最近では仕事の依頼が増えて、きちんと食事が取れるほどの儲けが出るようになったという。

(参考記事:仕事を許されず餓死を待つだけ…北朝鮮の「くるまクン」たち

北朝鮮はコロナをきっかけにして、市場経済に対する抑制策を取っていた。上記のような国営商店の運営権や、工場の設備の貸し出し、国営企業から名義を借りての車両登録や運送業を禁止するなど、資本主義的要素を潰し、旧来の社会主義計画経済に立ち戻ろうとしていた。

しかしそれがうまくいかず、深刻な物資・食糧不足となり、各地で餓死者が出るなど、その弊害が非常に大きくなった。コロナ前のように市場経済には介入しない方針に戻ったか否かの判断をするには時期尚早だが、それを思わせる兆候が各地で観測されている。

(参考記事:北朝鮮・首都市民の需要を支える個人経営の練炭工場